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392. 宙・東京宝塚劇場「炎にくちづけを」「ネオ・ヴォヤージュ」
ユーザ名: yasuko
日時: 2005/11/7(00:46)
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観劇の感想の前に。。
心から本田美奈子さんのご冥福をお祈り致します。
初演のミス・サイゴンは彼女じゃない方の方だけを観たので、彼女も観ておくべきだったととても心残りです。
そして、今年のレミゼも彼女のファンティーヌの公演の日のチケットをとっていたのに。。来年の再演では復帰第一作で観れるのではと期待していました。
彼女の魂のこもった「ひめゆり」の舞台を忘れないようにしたいです。
本当に残念です。
この後続けて書くのが悲しいです。
前半の芝居は。。。
人によって評価は違うとは思いますが、細かいとこで不満は在りますが、私は力作だと思います。宝塚でこれだけの作品は決して他の組では不可能です。和央ファンだし、退団発表されたから言う訳ではないですが、どこかの新聞の記事に出ていたように、彼女は偉大な遺産を残して去っていく、偉大なトップスターです。これは評価に値します。四季や東宝の歴史の方が長い東京の一般観劇ファンにも、宙の公演は鑑賞に耐えられるクオリティだと思います。
一般的に宝塚の舞台は確かに質の低い物が多いけど、私は宝塚がなければオペラなんぞ見に行かなかっただろうと思います。宝塚でオペラをオリジナルにした作品をやると、敷居が高くて日ごろ到底行こうとは思わなくても、行って見ようという気にさせる。これは宝塚の功績だと思います。
調べてみると「イル・トロバトーレ」はこの公演が在るまで全く知らなかったのですが、毎年平均4公演ほど来日公演があります。日本の小さいところでやっているのをあわせると10公演ほどやられるような、オペラ通の間では有名な作品みたいです。予習を兼ねてみたオペラのパンフにも、あまりに複雑な込み入ったストーリーでわかりにくく敬遠されがちとあります。おそらくこの公演のせいで、宝塚ファンが多少なりとも観劇すると思うので、「イル・トロバトーレ」の今年の公演のチケットは売れ行きがよいことでしょう。CDも amazon で見たら売り切れでしたし。。。
結局、オペラは「アイーダ」、「トゥーランドット」、「イル・トロバトーレ」と見ましたが、いろんな角度から同じ作品を見る楽しさを覚えさせてくれました。つまり、私には、宝塚は、敷居の高い格調高そうな、高度な教養がないと見れないような分野へ、一般の馴染みのない人にもわかりやすく紹介して、いろんな趣味を広げる入り口の役割を果たしてくれているような気がしています。
今回で退団される初風さんがすばらしいです。どっからあんな声がでるんだろう。悪役が上手いと面白い。檀さんの時も思いましたが、さすがベテラン。有終の美を飾るにふさわしい役だと思います。ソロ歌も多いし、歌の上手さを充分見せ付けることができる役だと思います。
そして、本当は主役であるアズチューナの「母さん復讐を果たしました」という最後の言葉をどういう気持ちで言ったのだろうと、いろんな解釈を見た人なりに勝手にすると、何通りも解釈ができて、それがこの芝居の楽しみなのかもと思います。
敵の子なのに、心ならずも本当の息子として本当に愛してしまった自分に対しての憤りや迷いと、「復讐を果たしました」といいながらも、息子として育てたマンリーコが母と同じ火あぶりになった悲しさを感じます。
復讐は復讐を呼び、最後は全員を破滅に導くっていう、まるでシェークスピアのハムレットのよう。
そして、最後の「全ての人に許しを。全ての怨み(だったかな?)に許しを。」ってとこが、心を打ちました。なんだか四季の昭和3部作を思い出しました。そして、中国は日本を怨む気持ちはよく分かるけど、もう許してくれっていう気持ちにまたなってしまった。いつまでも怨んでいたって先に進まないし、お互いに不幸になるだけ。。これは、なんか宗教差別とかを言いたいのではなく、この最後の「全ての怨みに許しを。」ってとこで、暗黙に昨今の中国や韓国の反日に対して、和平を呼びかけているように、私には聞こえましたが。。
ひとつどうしても納得できないのは、マンリーコ弱すぎ。だって馬上大会で勇者を打ち負かして優勝したんでしょう?そのかっこいい姿をみて、レオノーラが一目ぼれしたのに。。試合では強いけど、敵に囲まれるとあっけなく、1週間も死にそうな傷を負うし、あんなにかっこよく母を助けるぞと駆けつけていったのに、これまたあっけなくとらわれて囚人姿。弱えーよ!!実践には通用しないタイプなのね。かっこ悪りー!
後半のショーは気に入りました。
特にタップから始まる”一連の黄色のシーン”。まるで 42nd street の来日公演を見ているよう。今日の3:30からの公演ではタップの最後のシーンで拍手が鳴り止まず、ちょっと”ショーストッパー”でした。千秋楽はここで凄いことになりそうですね。
そして、もっと気に入ったのが、”一連のブルーのシーン”。最初にブルーのロケットがまた始まるのかと思ったら、だんだん音楽が盛り上がっていき、何がいったいこの後始まるんだと、徐々に期待が高まり、焦らして、焦らして、そして、大階段で和央ようか登場。登場してから振り向くまでがまた長い。ここでまた焦らされ、やっと例の決めポーズ。ここで、まるで練習したかのような観客の異様なまでにそろった拍手。まるで北朝鮮みたい。
ファントムの大階段の音楽も素敵でしたが、クラッシックに載せての群舞も素敵でした。最後にこれでもか、これでもかって畳み掛けてくるVの字の群舞。これを私は待っていたのよ。男役の群舞はこれでもか、これでもかって、畳み掛けてほしい。堪能できました。
そして、そして、またまたかっこいいのが、デュエットダンス前の和央ようかが奈落から上がってくる前のシーン。花ふささんがドレスのスカートを腰あたりでつまんで、高飛車で高慢ちき風な踊りが、これまた焦らす焦らす。だって、奈落の床が空いてんだからさ、そっから和央ようか出てくるんでしょ?早く出してよっていいたいのに、「さ〜あ、ご主人様のお出ましだ。下々の者よ〜くお顔を拝ませていただきなさ〜い。」って言われているよう。
とにかく今回のショーの後半は、焦らされて焦らされて、やっとトップ登場のときは、もう顔観ただけで感激ですわ。うまいです。ずるいです。雪みたいにばりばり踊らなくても、これで宙は満足させられてしまうんです。
そして、そして、毎回変ったリフトを見せてくれるデュエットダンスですが、今回はついに銀橋でやってしまった。凄いです。この後、通常は暗転してさっさと引けていくのに、こちらを向いて2人で礼をしますが、ここでまた拍手が鳴り止まず、なかなか2人が動けない。ここは千秋楽はファンは帰さないぞと、どうぞ拍手を頑張ってほしい。地方公演ならスタンディングするとこです。エトワールの初風さんがいつもより長く階段上で待たされることになりました。こういう演出も宙は上手いんですよね。ずるいですわ。
なんか、もっと書きたいことたくさん在るけど、長くなりすぎたので今日はこの辺で終わります。結局またDVD買うのかな。
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394. Re: 宙・東京宝塚劇場「炎にくちづけを」「ネオ・ヴォヤージュ」
ユーザ名: yasuko
日時: 2005/11/13(17:09)
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私にとっての”楽”、4回目の観劇を終えて帰ってまいりました。今ごろ千秋楽の最中だろうと思うと、見たかったなぁと残念です。来年のさよなら公演は激戦必至ですね。和央ようか、花ふさまりが退団なんて、もう宝塚になんの楽しみもなくなってしまいそう。さよなら公演くだらん内容だったら、泣くに泣けない。オリジナル作品だと、小池修一郎って今いち信用できなくって。。
今回の公演は、見れば見るほどいいですわ。前半の芝居も、特に後半のショーが凄いです。これで、S席8000円、A席5500円は安すぎる。倍でもいいくらい。これを”壮絶なる失敗作”と評した、スポニチの宝塚担当記者の想像力・理解力のなさをかわいそうにと思います。そろそろあの人交代したほうがいいんじゃない。。って思う次第です。どうもあの人がいいという作品は私には面白くなく、あの人が酷評する作品は、私にはすばらしいと思えます。
芝居は、マンリーコが弱すぎなのと、大和さんの歌がへたすぎなのが、納得できないけど、アンサンブルのコーラスも、マンリーコ、レオノーラ、ルーナの歌もすばらしいです。そして、最初の20年前の話をする役を寿さんがやられて、正解でした。これがせりふや歌詞がなに言ってんだか聞き取れない人がやっていたら、この芝居自体ぶち壊しだったと思います。
”キリスト教徒”と異教徒の対立を借りてはいるけれど、主題は”恨みをお互い許しあって、将来の子供たちのために平和な世の中を”っていうのだと思いました。”恨みは恨みを買い、新たな恨みを生み出す”、”恨みのある世の中では、いつも相手だけが悪い”、”全ての人に許しを。全ての恨みに許しを。”これは、今の日本対アジア諸国、アメリカ対第3世界を現しているように見えました。今の一触即発の状態を愁っての脚本家独自のアレンジによる平和へのメッセージだと思えます。
後半のショーは文句のつけようがないです。やっぱり、じらして、じらして、観客の期待を高まらせて最高潮に持っていかせるのがうまいですわ。すごいです。
初風さん、そして来年退団の御二人もぜひ、退団しても、舞台を続けてほしい。ぜひ、帝劇や、四季の舞台に出てほしいです。絶対見に行く。