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343. 月組バウホール「BourbonStreet Blues」月船主演
ユーザ名: 金子
日時: 2005/7/15(11:48)
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こんにちは。32度の中劇場に行って、憤死しそうにつまらなかった・・・。自分の「面白さを感じるアンテナ」がなくなってしまったのか、と思ったくらい。もう「ベルばら」まで期待しません、宝塚。
BourbonStreet Blues(月船)
月組 宝塚バウホール公演
7月14日→ぬ 14番
バウ・ロマン
BourbonStreet Blues
作・演出/正塚晴彦
<解説>
ニューオリンズを舞台に、一人の不良少年が、挫折と悲哀の末、やがて生きる上での真実、希望を見出すまでを描いた青春物。
1950年代、ニューオリンズ。ジェフはまだ若いが町の不良たちから一目置かれる存在である。しかし図書館に勤めるシンシアは、いつも大風呂敷を広げている彼の将来を案じていた。そんなジェフにも、ある夢があった。それは経営が傾いている孤児院を買い取って、子供たちのためのユートピアを創ることである。彼もまた、かつてその孤児院にいたことがあるのだ。
ここにもう一人、ジェフの身を案じている人物がいる。老刑事ジェラルド。しかしジェフはその心を知ろうとはせず、会う度に説教するジェラルドを毛嫌いしていた。こうしてジェフは好き勝手に暮らし、周りの人々が彼にとってどれほど大切な存在か気付きもしなかった。
そんなある日、ジェフは偶然ギャングたちの密売取引の現場に行き会い、彼の侵入を互いの裏切りと勘違いしたギャングたちは、撃ち合いの末、共倒れになってしまう。どさくさに紛れて大金を手に入れたジェフは、これで夢が叶うと喜ぶが・・・・。(ちらしより)
<メインキャスト> (プログラムより抜粋)
ジェフ(札付の不良少年):月船さらら
シンシア(ジェフの幼馴染):白華れみ
ジェラルド(刑事)/キューザック(建築家)/フェルッティ(ギャングのボス):嘉月絵理
<感想>
「後ろで子供がスナック菓子を食べ始めても仕方ないなあ」
このところ宝塚ではだらだらした芝居ばかり観ているようなところだが、今回は普段酒を飲まない人間がビールでいい加減酔っ払ってしまっているところへワインを飲まされたような感じだ。はじめに言うが、面白くない。
では何が面白くないのか。考えてみた。ひとつは、舞台中央だけで演じていて、かかわっていないメンバーはほとんど常に上手、下手のベンチに座っているか、その奥でちょっとした着替えをしていて、常に全員出ている、というスタンスだろう。正塚先生はどういう意図でこういう設定をされたか分からないが、観客にとってはCS放送で見ている「お稽古場」の延長のように見えた。よって、次に演じることになっている人が中央のほうに向かうので、「ああ、次は○○の出番か」と先に分かってしまうところがあり、これもどうかと思った。
次に、簡素なセットと衣装である。セットは開く白い扉とヤオヤの舞台だけであり、衣装はほとんど全員が実質1着だ。女役さんも全員パンツルック。予算がないのは分かるが(梅田芸術劇場でも感じた)、せめて主役だけでも再利用の衣装でも使って増やして欲しい。このバウシリーズ、セットに関しては、花組『くらわんか』はうまくやっていたと思うし、衣装に関しては再利用しまくって、舞踏会までやっていた雪組『さすらいの果てに』がよかったと思う。そんなに予算がないなら、梅田などやめてしまえ、と心底思った。そして、衣装・装置が変らないことで、話の転換がすべて会話によるものになってしまい、めりはりがなくだらだらと続く感じがするのだと思う。やはり暗転とかセットや衣装がえによる話の切れ目(観客側からすると拍手するところ)がないとしんどい。
金子は自他共に宝塚に関して「甘い」らしいが、この作品を観て感じたことは「これを宝塚歌劇でやる意味・必要性があるのだろうか?」ということである。予算のない普通の劇団でも十分やれる内容だと思う。宝塚は所詮「夢の世界」でいいのである。現実味など歌舞伎の次に必要とされない特殊な劇団だと思う。最近の正塚作品を観ていると、「リアル」に近づきすぎているような気がする。特に今回はそう思った。
しかし、曲は南部アメリカを感じさせるいい曲が多かったし、歌詞もなかなか考えさせられるところがあった。また、テーマである「他人のことを考えられるようになってこそ大人」というのは、電車内化粧とか、携帯を注意されたらホームに突き落とすとか、いわゆる「自己中心主義」がはびこっている現代において、自他共に考えされられるテーマだった。
もう一度、北翔海莉主演のほうもチケットがあるのだが、正直ギブアップしたいところである。あとは人別に。
月船さらら。孤児院出身というハンデを背負った少年が、社会的上位に上がれないことの焦り・憤りを抱えながら、正義心から巻き込まれてしまったギャングの世界に入れられそうになったところ、恋人の言葉で思いとどまり、最後は自分の生き方を考えるようになる、という少年から青年への自立への道を表現する役だ。初めからテンションが高く、役にすごく没頭している感じがして役と同一化して見えた。とくに、青春の焦りの表現がよかった。ただ、一幕のはじめ、声が辛そうであったので、終幕まで持つか、と思ったがなんとかだった。このシリーズの「主演地獄」はもう恒例であるが、やはり普通のバウ公演より上演期間が長いので、ペース配分というものをこの公演で学び取って欲しい。千秋楽までがんばれ。
白華れみ。ジェフのことを心配しているし、思っているのだが、彼はすぐ道を踏み外しそうになるので、そのたびに忠告するのだが、とにかく言葉を費やしてしまってなかなか分かってもらえない、というある意味不器用な少女である。台詞が多いが、自然な演技と歌で新人であるが好感が持てた。
嘉月絵理。この芝居はこの人がいなくては成り立たない、といっても過言ではないと思う。特に刑事・ジェラルドの説得力は抜群だった。
あとのメンバーでは、敵方のギャングに挑戦した龍真咲、ジェフの弟分のスマイルの明日海りおが印象に残った。
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350. Re: 月組バウホール「BourbonStreet Blues」北翔主演
ユーザ名: 金子
日時: 2005/8/1(10:02)
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こんにちは。若手10公演看破しました。最後はものすごくモチベーションが下がって。でも誰も行ってくれないので(泣く)。このシリーズの総括つきです。
BourbonStreet Blues(北翔)
月組 宝塚バウホール公演
7月31日→い列12
バウ・ロマン
BourbonStreet Blues
作・演出/正塚晴彦
<解説>
ニューオリンズを舞台に、一人の不良少年が、挫折と悲哀の末、やがて生きる上での真実、希望を見出すまでを描いた青春物。
1950年代、ニューオリンズ。ジェフはまだ若いが町の不良たちから一目置かれる存在である。しかし図書館に勤めるシンシアは、いつも大風呂敷を広げている彼の将来を案じていた。そんなジェフにも、ある夢があった。それは経営が傾いている孤児院を買い取って、子供たちのためのユートピアを創ることである。彼もまた、かつてその孤児院にいたことがあるのだ。
ここにもう一人、ジェフの身を案じている人物がいる。老刑事ジェラルド。しかしジェフはその心を知ろうとはせず、会う度に説教するジェラルドを毛嫌いしていた。こうしてジェフは好き勝手に暮らし、周りの人々が彼にとってどれほど大切な存在か気付きもしなかった。
そんなある日、ジェフは偶然ギャングたちの密売取引の現場に行き会い、彼の侵入を互いの裏切りと勘違いしたギャングたちは、撃ち合いの末、共倒れになってしまう。どさくさに紛れて大金を手に入れたジェフは、これで夢が叶うと喜ぶが・・・・。(ちらしより)
<メインキャスト> プログラムより抜粋
ジェフ(札付の不良少年):北翔海莉
シンシア(ジェフの幼馴染):夢咲ねね
ジェラルド(刑事)/キューザック(建築家)/フェルッテイ(ギャングのボス):嘉月絵理
<感想>
「貸切は有り難いね」
7月14日に月船さらら主演(A班とCS放送で言っていたので以下それで)に出かけたときに、平日だったこともあるが、4分の1は空席だったので、今回はどうかと思って席に着いたのだが、日曜午後ということもあり案外ほぼ満席だった。大劇場を含めてどの公演に行っても思うことだが、貸切はカード会社なり、企業が早々から受付して、客を入れてくれるので、劇団側としても有り難いのだろう。といっても金子の前のパイプ椅子の親子連れで、いかにも「母親に連れてこられた」といった感じの高校生の男の子は、ずっと漫画読んでいたけれど。
この公演がどうこう、ということはA班のときに書き尽くしてしまったので2度は書かない。もう少しいうなら、いわゆる「人生訓」のような台詞が多すぎて、じっくり聞かないといけないのだが、もう少し間引きしたほうがテーマは明確になるのではないかと思う。正直、行く前はものすごくモチベーションが落ちて「誰か行ってくれないかな」とまじめに思った。
で、二回目であるが、出演者にとってお稽古期間が長かったからか、みなそれぞれに工夫をしていて、正塚作品特有の「くすり」と笑えるところが多いように感じた。ただ再び問いたい。宝塚ファンは、「リアル感」を求めているだろうか。はっきり言うが、「ロマンだだ漏れ」(適当な言葉を思いつかない)でいいのである。そこが一般商業演劇との違いだと思うし、それが宝塚の特徴だと思うのだが。来年の『ベルサイユのばら』も星組はオスカル5人交代で、ということが発表されたばかりだが、そんなことしなくとも、宝塚ファンは「ベルばら」とこれば飛びつきますって、今の状態なら。一般商業演劇ファンのほうが「なんだこのロマンてんこ盛りは」となるだろうな。あとは人別に。
北翔海莉。歌を得意とする人だけに、ブルース、ジャズ、スイング、と曲調がいろいろあるナンバーを上手く唄いこなしていたと思う。また、彼女なりの工夫もあり、「なかなか」と思わせるところがあった。また、演技だが、ジェフという主人公は、社会的に不利な出身から社会的上位にあがっていけないことへの社会への怒り、そして自分への焦り、というものをもつ少年という一面と、シンシアの前では何の力もない普通の少年、という二面性をもっていると思うのだが、「優等生」イメージの強い北翔は後者を強く押し出すことで乗り切っているように思う。月船は前者の熱いイメージのほうが強かった。北翔の「優等生的」で終わらないぞ、という志の高さが感じられた。
夢咲ねね。自分の気持ちを伝えるために、そしてジェフによかれと言葉を尽くすのだが、A班の白華れみが「耐える彼女」なら、「主張する彼女」だった。演じる人によってこんなに変わるのか、と思った。演出ではなく、自分で考えて変えてやっているならなかなかのものだ。歌も演技もレベルは高い。月組の若手娘役も頼もしい人材が多くなってきた。
嘉月絵理。もう一度いうが、この人がいなくては、この芝居は成り立たない。月組の頼れる戦力だ。何もいうことがない。
最後に「ゴリラ」といわれる見かけはいかついのだが、中身は2・3歩遅いギャングの手下を演じた、朝凪麻名が印象に残った。使い方次第では面白い人材になると思うのだが。
<金子のよしなしごと>
バウの若手シリーズ、看破しました。ということで面白かった順に総括を。
1、花組『くらわんか』→多少「あざとい」ところはあったかもしれないが、とにかく面白かった。それが一番。また、バウだけということで大阪を舞台にしたのもよかったと思う。ある意味、「宝塚」の概念をくずすが、この路線の大劇場進出を願う。
2、雪組『さすらいの果てに』→「宝塚の伝統はこうだ!」と原点回帰を呼びかけた作品。同時期に大劇場で公演していた『マラケシュ・紅の墓標』とは対照的な「分かりやすい」作品。主演2人も改めて「宝塚する」ことに取り組んで得たものがあったと思う。
3、星組『それでも船は行く』→洒落た大人向きのコメディだが、ウイットに富んだ台詞を下級生たちがこなしきれなかったのが残念。
4、宙組『ル・プティ・ジャルダン』→心理描写が細かくて若手向きなのだが、また「リストラ」はやめてくれ、という感じ。主役2人より、ヒロイン2人の台頭がうれしい。
5、月組『バーボンストリート ブルース』→もう少し、目を楽しませて欲しい。予算下さい。
ということで、今年はバウはあと1作品のようだが、もうそろそろチケット代5千円にして、それなりの予算を使った作品をやっていただきたいと思うのは私だけだろうか。