星組バウホール「それでも船は行く」涼紫央主演

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309. 星組バウホール「それでも船は行く」涼紫央主演

ユーザ名: 金子
日時: 2005/3/6(20:22)

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 海の話が続いています・・・。この公演、もっと下級生の分までついていけるか不安です。

「それでも船は行く」涼
星組 宝塚バウホール公演
3月6日→い列13

バウ・ミュージカル
「それでも船は行く」
作・演出/太田哲則

<解説>
 大西洋航路の客船を舞台として、二組の男女の恋物語を中心に、乗り合わせた乗客達の不思議な出会いと、それぞれの人生哲学を描いた軽妙なタッチのミュージカル作品。

 1920年代、大西洋航路の豪華客船コンコード号に乗り込む乗客達。一等船室には、米財閥の御曹司であるジョニー・ケイス、米社交界の名花スーザン・トレイシー、その婚約者で貧しい炭坑夫から這い上がった青年実業家ヘンリー・ファーリントン、そして三等船室には新聞記者のマイク・コナー、ピアノ教師のジュリア・ガーネットが乗船していた。
 ジョニーとスーザンはかつては恋仲で婚約までした仲だったが、スーザンの完璧主義にジョニーは疲れ酒に溺れ、スーザンもジョニーの大まかな性格に嫌気がさして、婚約を解消。スーザンはヘンリーの成功への飽くなき努力に心酔し、周囲の反対を押し切って婚約した。
 かつては小説家を目指していた文学青年のマイクは、港で、学生時代の友人ジョニーと再会し、かつてはピアノ演奏家としての夢を持っていたジュリアも、港で学生時代の友人スーザンと再会する。
 ジョニーは嫉妬心も手伝ってかつての恋人・スーザンの婚約をブッ潰す計画をするが・・・。
 さまざまな人生模様を乗せて航海する豪華客船。やがて船は港に着く。さて、下船する人々の運命は・・・・。(ちらしより)

<主な配役>
ジョニー・ケイス(米財閥の御曹司。スーザンと婚約までしたが・・・):涼紫央
ハロルド・ハロウェイ(男爵・・・・):立ともみ
リンダ・ボーモン(伯爵夫人・・・):朝峰ひかり
ヘンリー・ファーリントン(スーザンの婚約者。野望に燃える青年実業家):美稀千種
ジュリア・ガーネット(船上ピアニスト。スーザンの学友):仙堂花歩
マイク・コナー(新聞記者。ジョニーの親友):銀河亜未
スーザン・トレイシー(米社交界の名花、ただし氷の花):妃咲せあら

<感想>
「お互い素直になろうよ」

 花組の『くらわんか』で上々の出だしの、今回の若手主体のバウホール公演。これが第2弾で、テンポが悪いとは決していえないのだが、正直『くらわんか』が良すぎた。その上、金子は一昨日に劇団四季の『マンマ・ミーア!』というノリで押すようなミュージカルを観たばかりなので、見劣りしてしまうのは個人的な理由で仕方ないかもしれない。しかし、よくある2組の男女の恋物語、それも女同士・男同士がそれぞれ自分の立場を相手と変わって、一方はもとの鞘に納まり、もう一方は新しい恋人同士になる、という古典的な内容であった。そこには2人の大人の男女もいて、人生哲学をほのめかしてくれる。筋としては見慣れたものであった。宝塚ファンに簡単に筋を説明するなら、97年の花組バウホールの『君に恋してラビリンス』の意地の張り合いモード、とでもいえばいいか。

 で、テーマであるが、それは上に書いたとおりである。意地の張り合いのジョニーとスーザン、本当の自分を偽ったマイクとジュリア、そして本当はこそ泥とペテン師の男爵と伯爵夫人、結局みんな本当のことを素直に言えば理解しあえるのである。これは現在の例に挙げると若者の自殺願望が多いことからなども、生きるにおいて虚勢を張っている人間たちへの普遍的なメッセージだと思う。そういう意味で『くらわんか』とは違ったさわやかな気持ちが観劇後に起こる。

 また、花組に続いて15人のメンバーによる公演だが、主演者を中心としてよくまとまっていて、タカラジェンヌの団結力の強さを感じさせられた。続いてもっと若手での公演が待っているが、そちらも期待したい。あとは人別に。

 ジョニーの涼紫央。メンバーの中で上級生だけあって、実力は3拍子そろっていて安心してみていられた。スーザンに対抗して心と裏腹のことを言ったり、いたずら心からわざと状況をややこしくしたりしても嫌味が感じられなかったのは御曹司らしくてよかった。またスーザンよりロマンティストなところも、男性のほうが案外、というのが良くわかった。単独主演1作目としては無難な船出であった。ただ、こういう2枚目だけではなく、これからは個性の強い役をやることも必要だろうと思う。新人公演が終わって一番難しい時期だとは思うが。

 立ともみさんと朝峰ひかり。初めから胡散臭かったが、最後に正体がばれると「なるほど」と思わせる演技だった。そして、立さんの「最後にあなたのハートを盗もうと思いましてね」という台詞は小粋で印象に残った。また、人生哲学的な台詞も分からない語がなかったので、ぴりりと効いた。

 ヘンリーの美稀千種。本当に成金趣味でやたらキザる上に女たらし、という人物としてはどうしようもない男をコミカルに演じていた。これではスーザンに嫌われても仕方ないか、納得してしまう。

 ジュリアの仙堂花歩。スーザンに比べて堅実で実直な女性である。彼女が一番嘘を知らされていないことに気づき、怒るところでは、むべなし、という感じである。新人公演ヒロイン経験もあり、演技も落ち着いている。歌は出演者の中で一番か。

 マイクの銀河亜未。どちらかというとジョニーにいいように振り回されてしまうのだが、ジュリアに対しては詫び状も書いていた、こちらも真面目な人物である。ただ新聞記者という職業が、スーザンの顔を知っているということにしか生かされなかったので、偽のスーザンを演じるジュリアにもっと探りを入れるような場面があると面白いと思うのだが。もう少し押し出しがあるといいと思う。

 スーザンの妃咲せあら。彼女がちらっとCS放送のニュースの一部に写ったとき、金子は「あ、この人はいけるな」と思った宝塚らしい容姿の持ち主であり、その後順調に、スター街道が約束されているといっていい「スカイフェアリーズ」になり、さてバウのヒロインと聞いて、別に驚かなかった。スーザンは完全主義だからそれに合わない男は許せないし、お嬢様だから自己中心的で、思ったことはぱんぱん言う、という外面的にはあまりかわいくない女の子である。しかし、本当に終盤にジョニーに「ショールを取ってきてあげよう」といわれ、「有難う」というところからやっと素直になれて元の鞘に納まるのだ。下手にやると気の強いきつい女の子に思われるが、最後のところが納得できたのでまあ及第点だろう。ただ、歌はもう少し確実な声が欲しい。

 といろいろ書いてきたが、後発組もがんばって取り組んで欲しい。こんなところで。


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314. Re: 星組バウホール「それでも船は行く」柚希礼音主演

ユーザ名: 金子
日時: 2005/3/21(14:17)

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 こんにちは。大劇場が「彩輝直サヨナラ」の最高潮の裏番組、ということで客席はよく埋まってました。東京の方はCSで十分ですよ。

星組 宝塚バウホール公演
3月20日→は列27

バウ・ミュージカル
「それでも船は行く」
作・演出/太田哲則

<解説>
 大西洋航路の客船を舞台として、二組の男女の恋物語を中心に、乗り合わせた乗客達の不思議な出会いと、それぞれの人生哲学を描いた軽妙なタッチのミュージカル作品。

 1920年代、大西洋航路の豪華客船コンコード号に乗り込む乗客達。一等船室には、米財閥の御曹司であるジョニー・ケイス、米社交界の名花スーザン・トレイシー、その婚約者で貧しい炭坑夫から這い上がった青年実業家ヘンリー・ファーリントン、そして三等船室には新聞記者のマイク・コナー、ピアノ教師のジュリア・ガーネットが乗船していた。
 ジョニーとスーザンはかつては恋仲で婚約までした仲だったが、スーザンの完璧主義にジョニーは疲れ酒に溺れ、スーザンもジョニーの大まかな性格に嫌気がさして、婚約を解消。スーザンはヘンリーの成功への飽くなき努力に心酔し、周囲の反対を押し切って婚約した。
 かつては小説家を目指していた文学青年のマイクは、港で、学生時代の友人ジョニーと再会し、かつてはピアノ演奏家としての夢を持っていたジュリアも、港で学生時代の友人スーザンと再会する。
 ジョニーは嫉妬心も手伝ってかつての恋人・スーザンの婚約をブッ潰す計画をするが・・・。
 さまざまな人生模様を乗せて航海する豪華客船。やがて船は港に着く。さて、下船する人々の運命は・・・・。(ちらしより)

<主な配役>
ジョニー・ケイス(米財閥の御曹司、スーザンと婚約までしたが・・・):柚希礼音
ハロルド・ハロウェイ(男爵・・):立ともみ
ヘンリー・ファーリントン(スーザンの婚約者。野望に燃える青年実業家。)大河睦
ジュリア・ガーネット(船上ピアニスト。スーザンの学友。):真白ふあり
リンダ・ボーモン(伯爵夫人・・・):華美ゆうか
マイク・コナー(新聞記者。ジョニーの親友。):一輝慎
スーザン・トレイシー(米社交界の名花、ただし氷の花。):蒼乃夕妃

<感想>
 「なんとか『公演』にこぎつけたね」

 この作品については、涼主演(「A班」と内部で言っている、以下同様に)のときに書いたので、演出が変ったわけでもないので書かない。

 さて、この柚希主演(よって「B班」)であるが、プログラム(500円だが)を買うのも渋られる方にとっては、一幕が終わって「柚希礼音しかわかれへんわ」となるような下級生主体の公演である。金子もなんだか、ずっと「演習」というか「練習」を観ていたような感じで終幕した。すると、アナウンスが聞こえてくるのである。

「本日の公演はこれで終了しました。またのお越しを・・・」

 正直、「『公演』だったのだよね?」と自問自答してしまった。ハード(劇場)・ソフト(脚本・衣装など)はちゃんと「公演」できるものが用意されているが、ソフトを操る側がどうも用意されたものを十分に扱えないメンバーだった、という感じだ。家に帰っても、「公演」といえるにはすれすれ、まだ「新人公演」、いや「○○祭」(丸の中を書いたら大劇場にいけなくなりそうなので・・・)のほうが良かったのではないか、と感じた。「若手育成」とはいえ、4500円とるからには、それなりの程度というものがあると思う。例えば、B班は4000円にして、A班は公演期間が長いし5000円取る、でもよかったのでは。あと、A・B班それぞれ、主役は決まってしまっているからそのままで、そのほかのメンバーの学年の平均を同じにするとか、花組の5パターンでやってみるとか、A・B班の均衡が取れないと同じ4500円というのは難しいと思う。今回は、現在の「星組大劇場新人公演」の中堅がほとんどいない感じで、上と下級生の陣容だったので余計そう感じたのかもしれない。以上暴言お許しを。

 でも、メンバーとしては、大人向きの内容に正攻法で取り組んで、「これから」につながるよい機会を与えられたと思う。あまりに一生懸命やっているので、観ているこちらが「うん、うん」といいたくなるとか、計算がみえみえのところも「ああ、そう考えてやっている?」と思ったが、そこは「若手育成」で今後に期待したいと思う。後はA班のときに書いた立ともみさん以外の個人別に。

 柚希礼音。星組下級生において押し出しNO1、といってもいい彼女だが、新人公演の主役も経ているし、専科を除けば上から2番目ということもあり、主役の風格があった。また、ものすごく頼もしくみえた。演技は売り出したころの少し間違うと一本調子、というところは完全に克服していると思うし、ダンスは素晴らしい。歌は下の音域が少し弱いかな、と思う。涼のジョニーは大学を出て、別に働く必要もなく、プレイボーイのお坊ちゃんを満喫している感じだったが、柚希のジョニーは大学を出たものの、別に働けとも言われないし、まあプレイボーイをやってみるか、という感じがした。押し出しがいいので、今後は悪役など観てみたい気がした。ただ、押し出しだけで勝負できる役ばかりではないので、繊細な役などもこの学年の時期にやってみる必要もあるか、とも思う。

 大河睦。もう少し、成金趣味のところ、ビジネスにおいて成功したタフさ、など表現する必要があるのではないか。ただ、弱腰のところはA班とちがう攻め方であったが、もう少し自信満々の鼻持ちならないイヤなヤツ、という感じがあればいいと思った。

 真白ふあり。娘役では星組NO1の歌唱力を誇る、A班の仙堂花歩と比較するほうが酷なのだろうが、とにかく歌唱力の上達を。4人の中では一番堅実なジュリア、という役づくりは出来ていたが、もう少し表情が明るいほうがいい。

 華美ゆうか。伯爵夫人の振りをするところは、髪型も工夫してあってなかなか優雅に見えた。ただ、正体がばれたときは、それまでとの落差をもっと激しくするとよかったと思う。でも、「美貌を利用した、新手の女ペテン師」というように見えたので、このドラマにおける役割は果たせていたと思う。

 一輝慎。ジョニーとは生活もぜんぜん違うのに「いい友達」で、ジュリアに対してもちゃんと反省する、地に足が着いた人間は表現できていたと思う。歌はもう少し。

 蒼乃夕妃。研1での抜擢であり、今回の目玉、とも言えるだろう。外面から言うと、鬘の工夫などはまだまだだ。ダンスは上手のようだが、歌は真白と同じぐらいがんばって欲しい。演技については、このスーザンという役は、最後の最後までいかないとかわいく思えないので難しいと思うが、「世間知らずのわがままなお嬢様」というところで乗り切った感じだ。この1作で評価するのは土台無理なので、「未知数」ということで今後に期待する。

 あまり、いいことが書けなかったが、勘弁していただきたい。このバウシリーズ、最後まで行きますから。



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