月組大劇場「エリザベート」

[掲示板: ミュージカル一般 -- 時刻: 2024/10/7(08:29)]

TOP HELP    :    :

オリジナルメッセージの書き込みオリジナルメッセージの書き込み // メッセージの検索メッセージの検索 // ヘルプヘルプ


上へ上へ | 前へ前へ | 次へ次へ | リプライを全て表示リプライを全て表示 | リプライメッセージを書き込むリプライメッセージを書き込む | 訂正する訂正する | 削除する削除する

307. 月組大劇場「エリザベート」

ユーザ名: 金子
日時: 2005/2/20(15:23)

------------------------------

 こんにちは。「ビジュアル勝負か?」と言われてもいいです。あれだけ美しいトートなら、とファンでなくとも言い切ってしまいたいような月組版でした。それでは。

「エリザベート」
月組 宝塚大劇場
2月15日→1階14列63
2月19日→2階B席(安く譲っていただきました。幕間の抽選会で末等の商品まで当たってしまいました。有難うございました。)

三井住友VISAミュージカル
「エリザベート」−愛と死の輪舞(ロンド)−
脚本・歌詞/ミヒャエル・クンツェ
音楽/シルヴェスター・リーヴァイ
オリジナル・プロダクション/ウイーン劇場協会
潤色・演出/小池修一郎

<解説>
 19世紀末。ヨーロッパ随一の美貌を謳われた、オーストリア=ハンガリー帝国后妃エリザベートが、イタリア人アナーキスト、ルイジ・ルキーニに殺害された。ルキーニは独房で自殺を図る。煉獄の裁判所では、犯罪行為から100年たったにも拘らず、暗殺者ルキーニを未だ尋問している。ルキーニは「エリザベートは死と恋仲だった。エリザベートが死を望んでいた」と主張し、自分の行為を正当化する。そして、それを証明する為、エリザベートと同時代を生きた人々を霊廟から呼び起こす。最後にトート(死)が現れ、エリザベートを愛していたと告白する。(ちらしより)

<メインキャスト>
トート(死、黄泉の帝王):彩輝直
エリザベート(オーストリア=ハンガリー帝国皇后):瀬奈じゅん
フランツ・ヨーゼフ(オーストリア=ハンガリー帝国皇帝):初風緑
ルイジ・ルキーニ(エリザベート暗殺者):霧矢大夢
ルドルフ(オーストリア=ハンガリー帝国皇太子):大空祐飛
皇太后ゾフィー(フランツ・ヨーゼフの母):美々杏里
エルマー・バチャニー(ハンガリーの革命家):月船さらら

<感想>
「宝塚はまず『美しい』のだ」

 『エリザベート』という作品のすばらしさは昨年の梅田コマ劇場(4月から梅田芸術劇場メインホール)で東宝版をみたときに語りつくしてしまったので、重ねては書かない。ただ、このミュージカルのすばらしさは、誰もが避けて通れない「生」と「死」を融合させてしまったテーマの偉大さにある。それは「愛と死の輪舞」という副題であきらかであるが。子供以外の観客にはなにかを考えさせてしまう深遠さ、高尚さがあり、だれもがそのテーマにひれ伏すのだ。

 宝塚においては5回目の上演であり、その間に東宝版が上演されたので、その比較をしてみると、まず、「性的要素」が薄くなっている。それは黒天使とトートダンサーの動きや衣装の違いなどではっきりすると思うが。またフランツの浮気のくだりでも婉曲である。これは女性ばかりの劇団ということと「清く 正しく 美しく」がモットーである劇団、という特徴に動かされているのだろう。それは宝塚でやる以上仕方がないことかもしれない。
 次に、「美化」という点が宝塚には多い。一番象徴的なのが、ラスト、東宝版はトートがエリザベートを棺に閉じ込めてしまうのに対して、宝塚は2人で昇天するという点だ。これは観る人の好みだが、個人的には宝塚版のほうが好きだ。
 一方「世紀末の退廃色」というのが、宝塚には薄い。東宝版は「♪ミルク」だけでなく、ヒトラーを思わせるハーゲンクロイツの場面もあり、崩れ行くヨーロッパ、というのを感じたが、宝塚ではフランツの「ハプスブルグ600年の歴史」の言葉くらいだろうか。

 さて、今回の月組について先に点をつけるならば85点というところか。マイナス10点ははっきり言うと客席への迫力が感じられなかったことである。コーラスのレベルが低いとかいう意味でなく、この作品の持つ圧倒的なテーマを訴え切れていないような気がした。しかし、これは兵庫でもまだ3月まで続くし、東京公演もあるのだから、練り上げられればいいものになると思うし、「組」という体制を取っている宝塚はそうなる要素を持っている。あとのマイナス5点は特に主役2人のレベル、特に歌唱力のUPを望みたいところだ。脇役陣がしっかりしているだけに、がんばって欲しいところだ。あとは人別に。

 トートの彩輝直。出てきたとたん「これだけのビジュアルなら、中身はどうでもいいわあ!」といわせてしまう。歴代トートを演じたジェンヌが、トートの「人間の姿を借りたこの世のものではない」というところを飛び越えるのに苦心していたのに、彼女にさせるとこの壁は一足飛びだ。彩輝という人に対しては、個人的にはいつも「もっと、もっと」と思うばかりで満足させてもらったことがないのだが、今回は初めて、そして最後にして「いい」と思った。彼女の特徴である「妖しさ」が、このトートという役とマッチしてまさに「この世のものではない」雰囲気をかもし出していた。いや、彼女の「妖しさ」を生かすにはこのトートのような役が必要だったのでは、とすら思ってしまった。確かに歌唱力やダンスは歴代の中ではっきり言うが最下位だが、あのルックスで黙らせられてしまう。演技に関しては、エリザベートに愛されたいという気持ちと、最後までそれが拒絶されるゆえの憎しみ、が2つの振り子となって、愛憎激しいトートだった。新人公演時代に本役だった、麻路さきによく似ている感じがした。それでも今までの彼女と比べればよくがんばっていたと思う。こういうのを「有終の美」というのだろう。ただ、東宝・四季しか認めない御仁には「トートのファションショーか?」といわれる危険性は十分はらんでいることは認めるが。

 エリザベートの瀬奈じゅん。エリザベート像というのは9年前は「苦しい運命を粛々と受け止め、ひたむきに人生を歩んでゆく楚々とした高貴な女性」という感じだったが、この10年の間に9年前に連想され、悲劇的な結末に至ってしまった、イギリスの故ダイアナ元妃、そして日本でも(これ以上はどなたでもお分かりだと思うので書かない)、と「エリザベートの現代版」とでもいえる、皇室の女性がでてきたので、今のエリザベート像は「自分というものはなんとしても守る、自我に目覚めた自立した女性〜普通の精神構造を持つ女性が皇室に入った悲劇」という面が強く打ち出されていると思う。今回は男役がやるせいもあるかもしれないが、より現代的な普通の女性に近かったと思う。さて、瀬奈であるが、1回目は彼女の娘役姿になれていないせいか、違和感が始めのほうはずっとあったのだが、2回目は「強い女性」というのを強く感じた。問題の歌だが、「がんばって、稽古して、出るだけ出しています」という感じで、普段の彼女からすればよくがんばった、と思う。しかし、彼女は基本的に男役であるのだから、これで評価するのはどうか、と思う。次回メインホールでばりばりの男役でこの女役を経ての成果を出してくれるものと信じている。

というのは、どうしても、初演・宙組での花總まりのイメージが大きいのだ。柳のように細く折れんばかりの腰、神秘・威厳・気品、そういったエリザベートに要求されるものすべてを彼女は身に着けていたような気がする。彼女の右に出るのは難しい、いや花總まりは日本演劇界においても稀代のエリザベート役者ではないかと思えてきた。

 フランツの初風緑。歴代では一番弱弱しい男性に感じた。歌に関してはいうことなし。彼女もプログラムで述べているが、フランツがかわいそうに見えるのは「超真面目ゆえの悲劇」なのだろう。母・妻・息子のことも話半分で聞いて対応していれば、ここまで振り回されて、惨めにならなくても済んだかもしれない。難しい役だと思うがさすが専科でフランツについて理解が得られるように造形してあり好感は持てた。

 ルキーニの霧矢大夢。歌に関しては歴代の中では最高ではないか。もう少し低音が出れば完璧であるが。ただ、歴代が好演してきただけに、彼女ならではのルキーニを創り上げるのは難しそうだが、観ていると「いつか人があっというような大事件を引き起こしてやろう」という考えに取り付かれた男、という感じがした。ただそこに「狂気の中の一分の真実」というもの、つまり重みがあればもっとよかったと思う。ただ、狂言回し、という役のせいでもあるが、客席に対してのつかみ・迫力はすばらしかった。

 ルドルフの大空祐飛。普通の環境で育つことが出来なかった人間がやっと持つことの出来た1つの思想をその立場ゆえ両親に否定され、孤立してしまった悲しさはよく出ていたと思う。「♪闇が広がる」での彩輝との顔合わせは美しい。歌唱力も大分UPしていると思う。かつての彼女はその怜悧な美貌からか、どの役をやってもクールなイメージが消えなかったのだが、この2年ほどで大きく変った。今回も子供のときからの成育歴による人恋しげで、成長しても認めてもらえない焦りの2面性が短い場面でよく現れていたと思う。

 ゾフィーの美々杏里。現在の宝塚最高のディーバだと思うこの人に、いつかこの役をやって欲しいと個人的にはずっと思ってきたのだが、退団とは残念である。最後にして熱演であった。あの声がすばらしい。ゾフィーとしての威厳、傲慢さ、歴代に劣るところがない。最後のエトワールはこれぞエトワール、聴いていて魂が上っていきそうだった。

 エルマーの月船さらら。B席から観たときに気づいたのだが、ふっとこの人にオペラグラスを向けてしまうのである。スター性ということに関しては、誰にも奪えない抜群のものがある。さて、人物造形についてだが「革命家」ということに重点を置くなら、もう少し熱血漢でもいいのではないか。革命家、というのはもともと自分や他人の命が少々どうなろうとも、自分の考えが正しいのだ、という人であり、テロリストとも通じる面がるのではないだろうか。彼女のトートもいつの日か観てみたい。

 以上いろいろ書いてきたが、この辺で終わろうと思う。とにかく『エリザベート』という作品は誰がやっても感動できる。この作品は『ベルサイユのばら』『風と共に去りぬ』と同じように長く宝塚で愛され、上演され続ける作品だと思う。ただ、宝塚オリジナルでないのが悔やまれるところだ。


上へ上へ | 前へ前へ | 次へ次へ | リプライを全て表示リプライを全て表示 | リプライメッセージを書き込むリプライメッセージを書き込む | 訂正する訂正する | 削除する削除する

312. Re: 月組大劇場「エリザベート」

ユーザ名: yasuko
日時: 2005/3/14(00:03)

------------------------------

東京ではとれるはずがないと思い、大劇場まで2回見てきました。ところが、東京はまだ先行でも、いろんなセットプランでも相当あまっているようで、全然とりやすいです。大劇場まで行くんじゃなかったというか、その必要はなかった。そして、東京では3枚買っているけど、正直買ってくれる人がいたら、売りたいとさえ思っている。

はじめから期待していなかったので、あまり批判してもしかたないが、やっぱ最低の「エリザベート」。東宝版とは違ったアプローチにしたいのだろうけど、雪や花(宙は観てない。星は歌が下手すぎてDVD買ったけど人にやりました。聴けない。)で表現していた、東宝でも、オリジナル版でも出せない、宝塚ならではの良さだった良さが全部消えたような気がします。すごく残念。

初風さんはあんなにうまくて、実力有るのに、恵まれてないですね。できれば、もっとうまい人達の組でフランツをやらせてあげたかった。

ルキーニは全然キーがあってなく、歌が全部がっかりです。完全にミスキャストだと思います。

これ以上はむなしすぎて書きにくいので、最後にいくつか誉めて終わると、

1)しなやかさは全くないけど、大人のデュエットダンスが、何気に好きです。ショートカットの銀のドレスが気に入りました。

2)エトワールは凄い。これは凄い。ずっと寝ててもいいので、このエトワールだけは見逃すな!!ってとこでしょうか。

私は、やっぱり、今の宙で「エリザベート」観たいです。


上へ上へ | 前へ前へ | 次へ次へ | リプライを全て表示リプライを全て表示 | リプライメッセージを書き込むリプライメッセージを書き込む | 訂正する訂正する | 削除する削除する

317. Re: 月組・東京宝塚劇場「エリザベート」

ユーザ名: yasuko
日時: 2005/4/9(22:02)

------------------------------

いよいよ東京で「エリザベート」はじまりました。

実は、2月に大劇場で2回も「エリザベート」を観て、あまりのできのひどさに(あれは、プロのものとは思えない、まさに学芸会並みの質だった)、東京のチケットは売ろうと思ったのですが、定価でも全く売れませんでした。
しかたなく、今日行ってきました。2階の最前列のセンター近い、結構いい席なのです。
今日観ての感想は、結構よかったです。チケット売れなくてよかった。
何が一番変っていたかというと、トートの歌が大劇場より、見違えるほど、まともになっていたことでしょうか。やっぱり、主役の歌がへただと、観れないってことですね。

残念ですが、やっぱり、どうしてもルキーニと、エリザベートは駄目ですね。

1)フランツ
初風さんのフランツは歴代最高ではないでしょうか?うますぎる!!
一番よかった。フランツ主役と思って観ても、結構楽しめます。
夜のボートの、「どこかでずっとまっていてくれる」とかいう最後のせりふや、最終答弁の「エリザベートは私の妻だ」「生きてる内さ」というせりふ。なんか、映画の「オペラ座の怪人」の最後のラウルの墓前での愕然としている表情を思い出しました。
ラウルも、フランツもクリスティーヌ、エリザベートは生きてる内だけの妻だったのですね。今日の観劇で一番共感できた役です。

2)エリザベート
書いてもしかたないのですが、音をとるのに必死で、全然せりふが聞き取れず、私の好きな「わたしが踊る時」が最悪でがっかり。本来この曲はもっとかっこいいはずなのに。花組より、もっとかっこいい「私が踊る時」を唄える人はいないのだろうか?
柴城るいさんがエリザベートのほうが、よかったんじゃ。。とか思ったりしました。
そして、前回も感じたけど、最後のデュエットダンスの「私が踊る時」はすばらしかった。自分らしさを取り戻して、生き生きしているしあわせそうなエリザベートのようで、あの笑顔で最後ほっとできる。
ちょうど、イギリスのチャールズ皇太子が再婚され、ダイアナさんは今どういう気持ちで下界を見下ろしていることだろうと思ってみました。

3)ルキーニ
これも書いてもしかたないのですが、歴代ルキーニのコピーにとどまってしまい、結局彼らを超えられず、自分らしさが全然でてない。思いきって、道化みたいなルキーニではなく、かっこいいとか、恐ろしいルキーニでもよかったのではないかと思います。演出も一工夫してほしかった。やっぱり、ルキーニは大空さんにやってほしかった。
最後のパレードがやっぱり物足りないなぁ。轟ルキーニは最後の階段を降りてくるルキーニが品があって、かっこよくて、舞台中のルキーニとのギャップがあって、結構面白かったですが、霧矢ルキーニは弱いですね。残念。

まあ、東京でまともなレベルになっていて、ひと安心。
後2回行く予定なので、結構楽しみになってきました。
やっぱ、大劇場はプレビューか?彼女たちは東京千秋楽でピークにもっていくべく上演しているってことでしょうか。これって、プロとしてありなのか?まあ、前から宝塚のレベルの低さは分かっていたことだし、今更いうべきことでもないか。。

今から、観劇される方がこれを読まれるかどうか分かりませんが、とにかく冷房が異様なくらいききすぎていて、観劇中ずっと寒かった。あれは異常です。念のため毛布代わりのコートを持っていかれることをお勧めします。


上へ上へ | 前へ前へ | 次へ次へ | リプライを全て表示リプライを全て表示 | リプライメッセージを書き込むリプライメッセージを書き込む | 訂正する訂正する | 削除する削除する

324. Re: 月組・東京宝塚劇場「エリザベート」

ユーザ名: yasuko
日時: 2005/4/24(23:17)

------------------------------

4回目を見てきました。
正直しばいは、ちょっと見過ぎて、ストーリーも知りすぎてさすがに飽きた感がありました。おかげて途中爆睡していました。
でも、確実にトートの歌がうまくなっている。全然違う。
まだ見られてない方、千秋楽近くに見られる方は結構感動物かもです。大劇場の最初でしか見ていない方で、東京の千秋楽近くにまた見られる予定のかた、結構驚くかもです。やっぱすごい。最初の2回を2月に見た時は、なんでこの人がトップで、トートなのか?といらついたけど、今見ると、凄い。やっぱ彼女がトートで正解ですね。

しばいは、寝てたので、あまり細かく感想など述べる資格がないのですが、エリザベートって、何がいいって、宝塚版では、やっぱしばいの後のショーがすばらしい。
芝居中苦悩の孤独のフランツがすがすがしい表情で左からせりあがって唄う最初のシーンで、なんかフランツかわいそうって気持ちが少し救われます。きっとフランツの一途な思いは伝わって、あの世ではふたりはいい夫婦なのかもと願います。
その後のキッチュのロケットがまた盛り上がります。もう最高ですね。
その後、大階段が見えると感動します。へたな(?)あやきさんの歌も全然なれてしまって、気にならなくなりました。上品なあわいピンクのロングドレスがまたいい!!
そして、闇が広がるの振り付けは、秀逸です。同じ振り付けで東宝エリザのトートダンサーズも踊ってほしい。あれを本物の男達が芝居とはちがって、品よくカッコよく踊ったら、どんなにすばらしいだろうと思います。でも、宝塚の男役の群舞にはかなわないかな。。
そして、デュエットダンスは本当にすばらしい。せなさんの表情がすばらしい。
芝居中は音が低くて実力が発揮できないゾフィーが、最後のパレードのエトワールで、おもいっきりこれでもかと高音を聴かせてくれます。もう、最高のエトワールですね。

芝居見なくてもショートパレードだけで充分堪能できます。


上へ上へ | 前へ前へ | 次へ次へ | リプライを全て表示リプライを全て表示 | リプライメッセージを書き込むリプライメッセージを書き込む | 訂正する訂正する | 削除する削除する

328. Re: 月組・東京宝塚劇場「エリザベート」

ユーザ名: yasuko
日時: 2005/5/1(22:05)

------------------------------

私にとっては最後の「エリザベート」を見てきました。
結局、なんだかんだ言って、満足してしまいました。今までの組の「エリザベート」とはまた違ったアプローチだったと思います。
「エリザベート」というと、みんな死んでいき、なんだか暗いイメージもあるし、悲劇の皇后みたいに言われて、かわいそうなストーリーっぽいけれど、東宝版でも感じたけど、決してそういうストーリーではないと思います。
やはり、主役はトートではなく、エリザベート。
特にエリザベートが死にあこがれていた訳でもなく、トートは負けそうな弱い心に忍び寄る人間の”隙”のようなものを現していると思う。隙があれば、まるで運命に操られているかのごとく、破滅へと引き込まれていく、という人間ならだれでも持っている弱さを現していると思いました。
そういう運命に翻弄された人生で、あきらめかけたり、なげやりになったり、模索しつづけ、それでも自分らしさを失うまいと頑張って精一杯生きた”人間皇后”に対する、オーストリア・ハンバリー国民からの心からの讃歌だと思います。そう考えると、普段男役のせなさんがやって、最後のすがすがしいふっきれて、自由でし合わせそうな解放された表情のデュエットダンスを見ると、正解だったかもと納得しました。

「エリザベート」が終わって、来年のベルばらまで、宝塚ではおもしろそうなのはなさそう。最近つまらない作品が多く、今後あまり宝塚には期待できそうにないですね。こうひどい作品が続くと、熱が完全に冷めてしまいそうです。もう卒業かな。。とまた思ってしまいます。

でも、帝劇で、「レミゼラブル」「モーツアルト」「エリザベート」「マイフェアレディ」と楽しみな作品が目白押しです。やっぱり、歌のレベルが高いので、帝劇は見るに価する。

そして、何といっても東京では常に4公演四季が同時に上演していてくれるので、見る物には事欠かないです。
8月から昭和3部作の同時再演と言ってましたが、反日を考慮してか、「異国の丘」と「南十字星」は延期か中止みたいですね。「異国の丘」はオリジナルにしては、クオリティも高くもう一度見たいけど、「南十字星」は当分上演ぶりでしょうね。もろB級戦犯とか扱ってますし。いいわげがましいし。
でもおかげて、「アスペクツオブラブ」やってくれるみたいで、これは楽しみです。坂本さんは「マンマミーア」卒業でこっちに出られるよう。ひさびさの彼女の歌声がきけると思うと楽しみです。



Maintenance: MORISADA Masahiro
KINOBOARDS/1.0 R7.3: Copyright © 1995-2000 NAKAMURA, Hiroshi.