劇団四季「エビータ」

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306. 劇団四季「エビータ」

ユーザ名: yasuko
日時: 2005/2/6(21:23)

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劇団四季「エビータ」を観てきました。

今日の主な配役は以下の通りでした。
エビータ:井上智恵
ペロン:下村尊則
チェ:芝清道

一言で言うと「楽曲は歴史に残るすばらしい傑作と思いますが、作品としては今ひとつ」でした。

1)アンドリュー・ロイド=ウェバーの才能を改めて感じました。
「オペラ座の怪人」「キャッツ」の中の楽曲もとにかくすばらしい。そしてこの「エビータ」も聴けば聴くほど傑作です。何十年か後は、モーツアルトかシューベルトみたいな、偉大な作曲家のひとりとして、名前を挙げられる人になるかも。他のミュージカルを観ても、これほど秀作の楽曲だらけの作品はなかなかお目にかかれないです。

2)芝さん最高でした。
チェ役の芝さんはすばらしかったです。あれって地声ですよね。あの唄い方で、あのキーがでるなんて、すごいです。JCSでもそうでしたが、絶叫型の役は、今後も彼にまわってきそうですね。

3)井上さんは。
他の方はどういう感想かは分かりませんが、残念ながら彼女のエビータは正直期待はずれでした。彼女がだめという訳では有りません。確かにうまいです。頑張っていました。でも、映画のマドンナのエビータが凄すぎて。。さらに野村さんバージョンのCDを聴きまくっていると、彼女の絶頂期のあの迫力のある歌を聴きなれると、全然違うのです。最初の”ブエノスアイレス”はもっとはじけて唄ってほしかった。物足りない。歌も、演技も物足りない。それほど、いい曲だけれど、歌う方からしたら、難しい曲なのだと思います。唄うので精一杯だったかな。。
バルコニーからの演説シーンも迫力に欠けたな。すごみというか、オーラが足りない。貫禄がない。
野村さんで観たかったというのが、正直な感想です。最後のシーンは、もっとうまい人なら、違った感想がもてたかも。。
映画なら何度もとり直せるし、細切れで演じればいいけど、舞台は一発勝負。世界中で、このエビータ役をやりこなせる人は、そうそうはいないと思う。実力集団四季をしてもこの役は無理だったかな。他で大作を同時上演しているだけに、一流の役者さんが、分散されて、ひとつひとつの作品の出演者の質が全体的に下がるのはしかたないのかな。

貧しくて苦労しただけに、絶対上流階級に負けてなるものか、絶対見返してやるという熱い気持ちで田舎から出てきて、野心と夢を持ってがむしゃらに駆け上っていく娘時代。その後、上り詰めてなんでも思いのままになって、一番栄華を極めている大統領夫人時代。そして、最後の死に向かっていくシーンと、女としての成長と人生の浮き沈みをもっと表現してほしかった。彼女は他人を踏み台にしてしたたかと表現されていはいるが、彼女が利用していたようで、実は、貧しい階級の市民は、彼女に自分達の夢を重ねて、辛さや不満の回避をするため、逆に彼女を利用していたような気がする。死んだら次のターゲットを求めたのだろう。だから、墓の土台はできても、それだけで、遺体もどこいったかわからない。やっぱり、所詮は、悲しい、貧しい下級階級の末路に戻ったんだ。

後1回見に行く予定ですが、次回はもっとよくなっていることを期待します。
でも、曲はすばらしい!人間業とは思えない不思議なメロディ。どうやってあの旋律が生まれてきたのか。やっぱり、彼は天才だと思います。曲を聞くためにいくのでも十分満足できます。


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310. 千秋楽・劇団四季「エビータ」

ユーザ名: yasuko
日時: 2005/3/13(22:44)

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「エビータ」千秋楽を観にいってきました。幕間にロビーに出たら雪が降っていて驚きました。どうりで1幕の間、寒いなぁーと思いながら観てた訳だ。

今日は観にいって本当によかったです。もちろん千秋楽だから盛り上がったからでも有りますが。
正直1回目は楽曲のすばらしさだけで満足してしまい、それ以外は、野村さんのエバと比較してしまい、やっぱり彼女にはかなわない、彼女だったらと、ずっと井上エバには不満だらけで、後半は退屈だったかもしれない。

今日は、「ブエノスアイレス」は相変わらず不満だった。もっとこの歌をパワフルに完璧に唄える女優は四季にはいないのか?と思ってしまった。
ところが、1幕最後の選挙活動をするシーンがあまりに迫力あり、まるで何かが乗り移ったかのような井上エバを観て、加速度的に終盤へ向けて、どんどん面白さが増して楽しく観れてしまった。あんなにつまらないと前回観じた後半がこんなに重みが有ったとは気がつかなかった。

おそらくペロン大佐は気が優しく穏やかで、人の上に立つような大統領の器の男手はなかったのだろう。弱気な男を優しくときふせて、そして民衆を自分の魅力で扇動して、もう後戻りできなくしてしまう。
そして、エバ基金のシーンも度迫力ですね。もう何かにとりつかれているかのごとく、彼女を止められない。彼女の絶頂期です。
このころまでは、彼女の原動力は確かに有名になって、上流階級を見返してやるという野心だけだったのかもしれない。

しかし、最後の悲しく寂しい最期を観ると、エバは確かに最初は野心だけで突き進んでいたかもしれないが、最期は、”ペロンとは一心同体”、”民衆に自分は愛されている。民衆は私を必要としている。”、そして、野心だけではなく、多少は”自分の力で民衆を助けたい。”とさえ思っていたように感じた。
この時代のアルゼンチンで、誰も信じてはいけなかったのです。最期までエバは自分だけのために、生きるべきだったのです。

「ブエノスアイレス」で、”女優になるための、いや、生き残るための挑戦の日々。残念ながら、男から男へと。彼らを踏み台に、人生の階段を上りつつあった。」とチェのせりふが入るけど、実はエバはペロンにこそ一番利用され、民衆に躍らされ、利用されて、むしろアルゼンチンという国民、国自体に踏み台にされたのは、彼女だったような気がする。

井上エバは激しい歌は得意なんだ。でもなぜか彼女がバラードを唄い始めるとやたら眠くなった。軽快で早口な”ブエノスアイレス”ではせりふが聞き取りにくく、パンチがない。
そして、初めてエバとペロンが会った時の、「おひとりですか?」「ええ、そう”ひとり”」の”ひとり”の言い方が甘い。この時点で既に彼女はブエノスアイレスへ出てこようとした時点の目標は十分達成していたのかもしれない。でも、彼を人目観て、”いくとこまで上り詰めてやる。絶対このチャンスを逃してなるものか”っていう、心の中では激しく野心に燃えているけど、それをちっとも出さずに一世一代の演技を、この”ひとり”で表現できなきゃいけないんだと思います。やっぱ野村さんのエバが観たい。

そして、最後に芝さんのチェはすごい。彼のレミゼのテナルディエかジャベールが観てみたーいと思ったのは私だけだろうか。

それにしても、「エビータ」は確かにロイド・ウェバーの最高傑作だ。



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