[掲示板: ミュージカル一般 -- 時刻: 2024/11/28(12:42)]
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こんにちは。ここまでいくと「宝塚ファンのカルトな文章」と一蹴されかねないことは十分分かってます。でも、すごく面白かったです。台詞じゃないけど「辛抱たまらんわー」。
「くらわんか」
1月16日→に列8
花組 宝塚バウホール
バウ人情噺
「くらわんか」
作・演出/谷正純
<解説>
一昨年好評を博した月組バウホール公演「なみだ橋 えがお橋」に続く、古典落語を題材にした人情噺の第2弾。今回は、大阪・枚方、三十石の船着き場の船宿を舞台に、上方落語の主人公たちと、近松心中物語の主人公たちが交錯しながら、荒唐無稽・抱腹絶倒の人情喜劇を繰り広げる。
「くらわんか船」の船頭・八五郎は根っからの怠け者だが、したたかに生きる術を心得ていた。女房に愛想を尽かされ、逃げ出され、やもめになっても、船宿の主人・甚兵衛に取り入り、船宿に居候していた。日々の生活はと言うと、貸すのは断りづらく、返せと催促するのは憚られる単位の小銭を、知り合いに借りて生業としていた。
そんな八五郎を見かねた甚兵衛が、縁談話を持ち掛けてきた。相手は公家奉公をしていた延用伯で、言葉遣いが丁寧すぎるのが唯一の欠点という。丁寧すぎる何処が欠点だと、八五郎は喜んで承知した。
嫁が来ると喜ぶ八五郎喜ぶ八五郎の前に、貧乏神が現れた。金持ちの家に取り憑いて貧乏にするのが貧乏神の仕事だが、気の弱いその貧乏神は、縄張を仲間に取られ、八五郎の所しか行く場所がなかったのだ。貧乏な八五郎に取り憑いても仕事にはならず、逆に八五郎から小銭をせびられ、身の回りの世話をするはめになってしまったのだ。
そして、甚兵衛と貧乏神を仲人にして延陽伯との婚礼の夜、もうひとりの嫁が現れた。幽霊の小糸・・・。人々が花見に興じているのを見た八五郎は、人と同じことをしても面白くないと、ひとり墓見に興じた。その時、倒れた卒塔婆を直し、小糸の霊を弔ったのだ。その恩を返そうと、小糸の幽霊が、八五郎の嫁にして貰いたいと現れたのだ。
昼の女房・言葉が丁寧すぎる延陽伯と、夜の女房・幽霊の小糸、そして女中代わりの貧乏神。八五郎の奇妙な新生活が始まった・・・。(ちらしより)
<主な登場人物> (プログラムより抜粋)
くらわんか船の船頭・八五郎:蘭寿とむ
死に損なった梅川:城火呂絵
家主・甚兵衛:汝鳥伶
気の弱い貧乏神:望海風斗
道楽者の若旦那・徳兵衛:華形ひかる
涙もろい遊女・お初:華城季帆
幽霊になった遊女・小糸:桜一花
言葉遣いの丁寧な女房・延陽伯:桜乃彩音
<感想>
「正月気分が戻ってきたわ」
一昨年の『なみだ橋 えがお橋』に続く、「宝塚と落語のコラボレーション 第二弾」(プログラムより)、であるが前作が面白かっただけに、「柳の下にいつもドジョウは居ない」となるとつまらないと思っていったが、どうして、とても面白かった。一度観たらオチは分かってしまうので2回行く人は少ないと思うが(しかし金子、愛音羽麗主演分チケット購入済み)、4500円でこれだけ楽しめたら安いものである。谷先生にはこの落語シリーズをレパートリーにしていただいて、もっと続けて発表して、最後は大劇場も目指していただきたい。
今回は上方が舞台であるのでべたべたの大阪弁が繰り広げられるのだが、主演者は関西圏出身であるが、下級生で関西圏以外の出身の出演者は大変だったろうと思う。実際の今の大阪で使わないような単語も出てきて(大阪人を両親に持たない金子には?の単語多々あり)これまた大変だな、と思った。5パターンの役替わりもあり、下級生のがんばりは大きな拍手を送りたい。カーテンコールで一人一人役名と芸名を自己紹介したが、下級生事情に詳しくない金子で専科の方以外で知っているのは5人ぐらいだった。宝塚はある程度「育てて観る」ことがファンにとって要求される特殊な世界だが(それが無理な方は帝劇や四季のほうをご覧下さい、と1古参ファンとしていっておく)、どの世界でも覇気のある姿は見ていて気持ちのいいものである。
大阪の話だが、さりとて吉本新喜劇の路線に走るのではなく、筋が進むにつれて「次はこないするな」と「え、どないなるねん」の繰り返しで心地よい頭の運動になって笑って、と面白いだけではなく、きちんとテーマもある。いわば「人間万事塞翁が馬」であろう。家政婦が欲しければ貧乏神が現れるし、祝言の準備が自分で出来なければ家主さんがちゃんと持ってきてくれるし、最終的にみんなが困ったところへ奥さんが大金を工面してきてくれて、みんなにばらまいてしまっても、奥さんはがっちりつかめる、という「ないと思ったら出てくる」の繰り返しで話が結末まで進む。なかなか良く出来ている。一つ贅沢を言うなら、1部の祝言の準備のくだりが長くて中だるみしてしまい、2部が40分で終わる、というバランスであろう。85点。2月も行くぞー。後は人別に。
蘭寿とむ。怠け者で能天気、でも頭の回転は速くて、生活能力は抜群、というある意味典型的な大阪人である。出ずっぱりで膨大な台詞の量だがとても楽しそうにやっていて、関西出身という特長も生かせてよかったと思う。また、下級生が多いからか、とても頼もしく見えた。町人のしたたかで憎めない、というキャラクターが強く感じられた。単独初主演作としてはいい作品に当たったのではないかと思う。もう花組の貴重な戦力なのでこのへんで1つ力を見せ付けられることが出来たと思う。
城火呂絵さん。卒業とは残念である。また、音楽学校などで教えられるのであろうか。今回はなんともユニークな、もしいたら、という設定の役なので、急に出てくるところが多いのだが、なんとも近松の本とは違う、世俗に未練がましい梅川で笑わせてもらった。
汝鳥伶さん。八五郎の監視役みたいな感じだが、自分のバカ息子をどうしたらいいのか分からずあたふたするところや、八五郎に振り回されるところなど、笑わせてもらった。『心中・恋の大和路』に出演されていたので、梅川とのくだりは堂に入ったものになるはずなのに、パロディみたいになっていて、さすが専科である。
望海風斗。貧乏神とはインパクトのある役である。歌は合格点だが、芝居に関してはもうすこし弱弱しいところだけでなく、貧乏神の夢を語るところや小糸と結ばれてうれしいところなどのめりはりがつけられればもっと良くなるだろう。
華形ひかる。家主の道楽者のバカ息子だが、こういうタイプの腰が定まらないようなひょろひょろしているところは出ていた。
華城季帆。プログラムの「涙もろい」というより、「自信なさそうな」という感じだったが、それがいきなり音頭を歌いだすのは面白かった。声がきれいなのでもう少し歌詞がわかるといいのだが。
桜一花。ブギの歌も恨めしそうなところも面白く、実績のある人だけにきちんとまとめていた。
桜乃彩音。出てくる前に散々「美人だ」といわれているので、彼女なら容姿は十分である。役作りは、始めの通訳がいるぐらいの丁寧言葉から、八五郎に言われて、だんだん八五郎のモードの言葉になっていき、最後は八五郎をしかり倒すところでは完璧に大阪の奥さん、に変っていくところがきちんと出来ていて良かったと思う。
最後に研1とは思えない舞台度胸を見せた芽吹幸奈が印象に残ったことを書いて終わる。
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こんにちは。おなじ演目なので「Re」にします。楽しいですよ。スカイステージお持ちの方お楽しみに。
「くらわんか」
花組 宝塚バウホール
2月3日→を列5
バウ人情噺
「くらわんか」
作・演出/谷正純
<解説>
一昨年好評を博した月組バウホール公演「なみだ橋 えがお橋」に続く、古典落語を題材にした人情噺の第2弾。今回は、大阪・枚方、三十石の船着き場の船宿を舞台に、上方落語の主人公たちと、近松心中物語の主人公たちが交錯しながら、荒唐無稽・抱腹絶倒の人情喜劇を繰り広げる。
「くらわんか船」の船頭・八五郎は根っからの怠け者だが、したたかに生きる術を心得ていた。女房に愛想を尽かされ、逃げ出され、やもめになっても、船宿の主人・甚兵衛に取り入り、船宿に居候していた。日々の生活はと言うと、貸すのは断りづらく、返せと催促するのは憚られる単位の小銭を、知り合いに借りて生業としていた。
そんな八五郎を見かねた甚兵衛が、縁談話を持ち掛けてきた。相手は公家奉公をしていた延用伯で、言葉遣いが丁寧すぎるのが唯一の欠点という。丁寧すぎる何処が欠点だと、八五郎は喜んで承知した。
嫁が来ると喜ぶ八五郎喜ぶ八五郎の前に、貧乏神が現れた。金持ちの家に取り憑いて貧乏にするのが貧乏神の仕事だが、気の弱いその貧乏神は、縄張を仲間に取られ、八五郎の所しか行く場所がなかったのだ。貧乏な八五郎に取り憑いても仕事にはならず、逆に八五郎から小銭をせびられ、身の回りの世話をするはめになってしまったのだ。
そして、甚兵衛と貧乏神を仲人にして延陽伯との婚礼の夜、もうひとりの嫁が現れた。幽霊の小糸・・・。人々が花見に興じているのを見た八五郎は、人と同じことをしても面白くないと、ひとり墓見に興じた。その時、倒れた卒塔婆を直し、小糸の霊を弔ったのだ。その恩を返そうと、小糸の幽霊が、八五郎の嫁にして貰いたいと現れたのだ。
昼の女房・言葉が丁寧すぎる延陽伯と、夜の女房・幽霊の小糸、そして女中代わりの貧乏神。八五郎の奇妙な新生活が始まった・・・。(ちらしより)
<主な登場人物> (プログラムから抜粋)
くらわんか船の船頭・八五郎:愛音羽麗
死に損なった梅川:城火呂絵
家主・甚兵衛:汝鳥伶
気の弱い貧乏神:祐澄しゅん
道楽者の若旦那・徳兵衛:朝夏まなと
涙もろい遊女・お初:桜乃彩音
幽霊になった遊女:小糸:梅咲衣舞
言葉遣いの丁寧な女房・延陽伯:華城季帆
<感想>
「ホンマ、『辛抱たまらん』わあ」
作品について、は蘭寿とむ主演版(以下「1月」で)に書いたので改めて書くまでもない。演出も変っていない。しかし、リピーターにとっては、寝るか(右隣の人)、また笑うか(金子)と分かれるだろう。1月より後列だったせいもあるが、金子は結構「おっ、次は金が出てくるでー」と思いながら一生懸命観た。分かっていても面白いものである。大劇場休演日で劇場施設が一部しか開いていないのにほぼ満席で、「真からの宝塚ファン」の偉大な力が分かったような。そんな日に行くとは金子も「あんけらさん」(アホの最上級の意味だそうな)の一人?
カーテンコールで愛音羽麗が、「皆、元気一杯の若いメンバーです。自己紹介しますので、役と顔と芸名を覚えて帰ってやってください」というようなことを言ったのだが、専科のお二人、愛音、以外は下級生が多く、家に帰ってとうとう『宝塚おとめ』(宝塚歌劇団公式の全員のプロフィール本)をつらつらと眺めてしまった。例えば愛音から最下級生まで7年のキャリアの差があるのである。年齢でも7歳違えば相当である。愛音がえらく上級生に思えてきた。こんなに多くの下級生の芸が披露される公演をみるのも、ああ「真の宝塚ファン」の温かさ。四季とか帝劇しか観ない人にはちょっと理解されにくい心情かもしれない。OGの方がよく「宝塚はファンの方が温かい」というのは、こういうアマチュアに近い時代からずっと応援してくれる、つまり「育てて観る」という気質のことをいっているのだろう。
しかし、この公演、来月CS放送で放映されるのである。あまりにも早いのではないか。こんなに早いと劇場パスでテレビだけ、という人がでるだろう。次の星組バウホールはこの花組がよかったからか、各プレイガイドが先行予約に踏み切ったからか、土日は大体売切れのようであるが、やはり放送は1年くらい待って欲しい。
といろいろ書いてきたが、あとは人別に。少しは1月との比較になってしまうかもしれない。また、専科のお二人は1月のときに書いたので省略させていただく。
愛音羽麗。この出ずっぱりの喋りまくりの初主役は単独初主演としては大変だろう。1部ではちょっと声の調子が悪く、1月と違ってお茶を飲むようにして水分補給していたようだ。蘭寿の八五郎は「同年代に比べたら、今までの人生経験以上に頭がよく回る男」という感じだったが、愛音の八五郎は「なんだかしらないけれど生活力のある男」という感じだった。どちらでもいいと思うが、観る前、見た目は蘭寿のほうが町人らしく見えて得か、と思っていたが、愛音も本当の大阪出身からか、にくめないあつかましい大阪町人になっていた。これで千秋楽までいければ十分だと思う。次の大劇場公演でも期待したい。
祐澄しゅん。気の弱い貧乏神が、大阪のどあつかましい連中に囲まれてあたふたするものの、その調子に乗せられてしまう、というところは出来ていたと思う。歌はもうひとつ。ただ、この「気の弱い貧乏神」、存在だけでも相当面白いので、今度は貧乏神こと「ビンちゃん」を主人公にして芝居があれば観たいと思うのだが。
朝夏まなと。もっと情けなく、俗世に未練たっぷりにやらないと印象が残らない。
桜乃彩音。遊女にしては品があるが、気の弱い・優しい女という感じが出ていて、1月の延陽伯とは違った一面を見せた。
梅咲衣舞。研1にしては演技のセンスはあると思ったが、歌はこれから。ファルセットと地声のシフトの仕方からやるべきだろう。しかし、このバウホールは研1だからといってあなどれない力を見ることが出来て、未来の宝塚が頼もしく思えた次第である。
華城季帆。1月のお初より声を張り上げるところが多いので、美声の彼女にはこちらの役のほうがあっていたと思う。最後になると八五郎をしかり倒すところまで、短時間で大変貌。愛音のあとは彼女が最上級生になるので、自覚してしっかりしているように見えた。
いろいろ書いてきたが、この2回連続上演という形態、この感想を書くにあたっては、内容のことは1回目のときに書ききってしまうので、2回ともよく出演者を見なくてはならないな、ということが分かってきた。あと8回がんばって行くぞー。