出演者は女性だけで、男性の役は男装した女性が演じる劇団、という 見かけは歌舞伎と反対ですが、その公演内容は、ミュージカル、レビュー、 ショーと多岐にわたり、また和洋どちらもこなす幅広いレパートリーを 誇っています。特に大規模なレビューやショーを定期的に上演する劇団は 世界でも数少なく、またそれこそが宝塚歌劇の魅力と言えるでしょう。
1つの公演はたいていの場合第1部のミュージカルと第2部のショーの 合計2幕で構成されます。たまに「はずれ」の作品に当ったときにはこの 2部構成に思わず感謝してしまいます(ミュージカルとショーの両方が 「はずれ」の確率は低いので)。
劇団四季のようなロングラン制を採用せず(1)、 ほぼ毎公演新作を出してきます(2)。 花月雪星宙の5つの組(3)(いわゆるカンパニーに相当します) が交替で宝塚と東京で公演を行なうので、ほぼ1年中公演を行なっていることに なります。
関西では震災の影響なのか若干集客能力にかげりが出ているようですが、 東京では毎公演完売御礼となることが多く、チケットを入手することさえ 難しいです。しかし、「宝塚!?」と敬遠して観ようとしないのは ミュージカルを観る楽しみの半分を自分から放棄していると言ってもよいでしょう。 まだ観たことのないという方は一度ぜひご覧になってはいかがでしょうか。
(1)「ベルサイユのばら」や「エリザベート」
など一部例外はありました
(2)たまに再演があります。また、ショーでは過去の
名作場面の使いまわしがたまにあったりします。
(3)この順番は公式のものです。読みはそれぞれ
「はな」「つき」「ゆき」「ほし」「そら」です。歌劇団創立当時は1つの
組しかありませんでした。その後、宝塚歌劇の人気の上昇に伴い新しい組が
作られてきたものです。
宝塚歌劇のパンフレットは1999年初頭までは600円で、基本的に台本付き でした。海外のミュージカル作品の場合は権利関係上台本の掲載ができない ものがありますが、600円というのはとてもうれしいことだったのですが、 1999 年の途中から分厚くなって1000円に値上げ、しかも台本がないので どの人がどういう役なのかわけがわかりません。バウホール公演のように 出演者の人数が少なければわりと把握しやすいのですが、大劇場公演の パンフレットは台本だけでも元に戻して欲しいものです。
ただし、ショーでは一つの場面で他のミュージカルナンバーを アレンジして使うことがあるのですが、元曲の名前を掲載しない点は 改善してほしいものです。
「大いなるマンネリ」「新しいものは古くなるが、古いものは それ以上古くならない」などという意見もありますが、それだけでは 今後の発展は望めません。白井鐡造がレビューを作った当時はそれは 斬新だったことでしょう。宝塚での入りが悪くても東京に行けば どんな作品でも客は入る、という現状はそう続くものではないと 思います。より新しいものを目指して欲しいですね。