脚本・演出 高取英, 音楽 J・A・シーザー
出演 長崎萌, 一ノ瀬めぐみ, 野口員代, 吉田恭子, 三坂知絵子,
森永理科, 美里流季, ほか
10/4(水) - 11(水) ザムザ阿佐ヶ谷(公演時間は約2時間。休憩なし)
(10/7(土)7:15 の部を観劇。席は4列目くらいのド・センター)
小劇場の芝居を観るのはとても久しぶりです。フラッと当日券で 観に行ったので小屋の中に入ったのはかなり最後の方でしたが、た またま空いていた中程の中央に座ったら(全席自由の座蒲団席です) ちょうど花道の角! 角というのは舞台からの花道が直角に曲がっ て客席の出入り口に通じるようになっていて役者が出入りするよう になっているからでして、最高においしいポジションでした (*^^*)。 ちょうど役者が立ち止まって芝居する辺りでして、いやあすごかっ た (*^^*)。血糊が飛ぶのはさすが小劇場! (そう言えば昔、新宿梁山泊で蛸の足が飛んで来たことも あったなあ…)
原作はもちろんあの「ピーター・パン」ですが、原案と言った方 がよいでしょう。飛べなくなったピーター・パン(一ノ瀬)と女子高 生のコユリ(長崎萌)が主人公。ネバーランドが舞台になると思いき や、ラスプーチンがいたころのロシアに行ったり(ロシアの皇族も 登場する)、秘密警察が出て来たりと何でもあり。:-P ネバーラン ドの人魚の肉を食べて不死になったラスプーチンの怪しい魔術にピー ター・パンとコユリたちがどうやって対抗してネバーランドに平和 を取り戻すか…といったストーリーです。最後に陰惨な結末となり ますが、その次のラストシーンとして、人魚の肉を食べて不老の身 体となったコユリが再びピーター・パンに迎えられて旅立って行く シーンがあり、これが実に不思議というか興味深い。ピーター・パ ンが永遠に子供であるのと同じようにウェンディの側である一般の 人間もたとえ何歳になろうとも子供の心を持てることを言いたかっ たのかなあ?
アイドル方面の知識は今は全然ないもので :-P 長崎萌って知らな かったのですが、「ほんとにアイドル出身か?」ってくらい芝居は うまいです。観客との距離がとても近い小劇場でも全く動じるとこ ろはない。ただあんまり歌はうまくないかな。他のキャストも役が 付いているクラスの人は「こいつら児童劇団の出身か?」って思う くらい総じて芝居がうまいです。
客層は長崎萌のファンらしき若い男性が主体ですが、出演者の友 人らしき女性もわりと入っているという不思議な客席でした。アン コールでは「もーえちゃーん」という野太い声援があがっていまし た。至近距離で見てもとーーーってもかわいかったのでそう叫びた くなる気持もよくわかる :-P。
でも個人的に好みだったのは同級生で大阪出身の道頓堀子(どう とん ほりこ)を演じた三坂知絵子で、いいキャラしてるユニークな 子です。どこのレンタルなのだか知りませんが(あるいは誰かの 中学時代の制服かも?)やたらシャツの丈の短いセーラー服で、 文学少女なのですが愛読書が「O嬢の物語」「家畜人ヤプー」など オイオイと突っ込みたくなる設定。 もう一人、グルーシャ/ウェンディの2役の野口員代はなかなか 細かいところで芝居していて、かわいいんだけどちょっと変わった 雰囲気をもった役者で芝居がうまい。 ティンカー・ベル/皇太子アレクセイを演じた森永理科の アレクセイ役は見事。
一応ミュージカルなのでちゃんとダンスや歌もありますが、小劇 場的な要素が多い作品でした。最後にピーター・パンは空を飛びま す。小劇場で本当にやるとは思わなかった!