東京芸術劇場「FAME フェーム」スミセイ・ミュージカル

東京芸術劇場「FAME フェーム」スミセイ・ミュージカル
を観て来ました。

この公演も、大雨のせいか、お盆のせいか、客の入りは非常にわるかったです。
後ろはがら空き。２階は客がほとんどいなかったと思います。

最初に、
オーケストラのボリュームが大きすぎて、せりふや唄が声量が小さいわけでもないのに、ほとんど聞き取れなかったです。劇場側は誰も気がつかなかったのでしょうか。途中いらいらした。

結論から言うと、
この手のアメリカンドリームのストーリーは日本人にはあわない。
アメリカの映画やミュージカルには、

夢を見続けよう。
夢は努力すれば必ずかなう。
差別、病気、アルコール、麻薬、恋愛での迷い、挫折。

なんてことが盛り込まれたストーリーが腐るほどあり、アメリカではうけているようですが、私は全然つまんない。ていうか、日本人気質にはあわないと思います。

アメリカ人は、普通の人が一夜でトップスターに踊り出るアメリカンドリームがお好きなようですが、日本人は百姓一揆の土民の血が流れているせいか、悪政に苦しめられている市民が立ち上がって普通の幸せを得ようとする”市民の怒り”ほうが燃えてします。だから日本でフランス革命がらみの芝居がうけるのではと思います。
夢を見続けようということをうったえるすばらしい唄を聞いても、そのときは感激しますが、ずっと後まで残らないです。それより、「ミルクはどこだ。あるところにはある。」とトート閣下の突き上げたこぶしのほうが盛り上がり、血がわきます。
国民性が違うというか、趣向が違うと思うのですが。。

では全然だめだったかというとそういうわけではないのです。
踊りはかなり激しく、非常にすばらしかったです。東宝のミュージカルは芝居と歌はいいのですが、踊りがつまんないので、久々に踊りで満足できるミュージカルを見ました。
主要メンバーが順番でスポットがあたり、歌や踊りの持ち味を発揮する場面があります。ちょっと若いくだけた「コーラスライン」ってとこでしょうか。
ひとりひとりを見ると躍りも歌もしばいもいいのです。
プログラムを見ると、ほとんどが劇団四季出身。他は踊りを専門にやっていた実力ぞろいなのです。
つまり、ストーリが日本人向きでないというだけで、できはすばらしいと思いました。どうせこれだけの実力者を集めて一生懸命やるなら、もっと日本人受けする公演を選ばなきゃって思います。ブロードウェイでうけたからといって、日本にもってくれば何でもうけるって時代じゃないでしょう。日本でやるなら、日本人を喜ばせなきゃ。

いいシーンは、私が宝塚ファンのせいか、安奈淳さんと高汐巴さんが教育方針の違いで言いあうシーンがあるのですが、そこが迫力あり、おもいっきり”宝塚”の男役していてかっこよかったです。高汐さんもしっかりシャツの襟がたっていて、”宝塚”していました。

また、安奈淳さんのソロの唄はすばらしかったです。若者が何度もターンして思いっきり踊って、歌っても、あなたのあの大人の唄にはかなわないです。
私は女性の低いトーンの唄ほど魅力的なものはないと思っています。女性のソプラノより、男性の迫力のある歌より、女性の低音の歌が聖母のような魅力を感じます。
去年の「モーツアルト」も何度も見ましたが、井上、中川、山口より、わたしは、久世さんの低音の唄に感動しました。

本場のブロードウェイでもあったかどうか知らないですが、宝塚のフィナーレみたいなシーンが最後についています。これが一番盛り上がったかな。なんかＸのコンサートみたいにみんなぴょんぴょん飛んで（安奈さんも飛んでました）もりあがってました。宝塚マジックとでもいいますか、最後のフィナーレがいいと、芝居がつまらなくても、感動して満足してしまいます。最後は総立ちで、ぴょんぴょん飛んで、結局なんとなくみんなだまされて満足して帰っていきました。一部が終わってあまりにつまんなくて途中で帰ったお客さんもいらっしゃいましたが、最後のフィナーレ観れなくて残念でした。

余談ですが、
劇場に紫（最近まで柴と思っていた）吹淳さんのコンサートのポスターが貼ってありました。きれいでほしい！！と思いました。でも何で泣いているの？？