雪組バウホール 「DAYTIME HUSTLER」

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393. 雪組バウホール 「DAYTIME HUSTLER」

ユーザ名: 金子
日時: 2005/11/13(08:52)

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 こんにちは。貴城さんが、ハスラー(日本で言えばホスト)で瀟洒なスーツを着て出てきて、投げキッスしたときには、客席で「キャー」という声が聞こえたような。他の人では無理な企画かも。

DAYTIMEHUSTLER
雪組 宝塚バウホール公演
11月12日→ほ 29

バウ・ミュージカル
DAYTIME HUSTLER
〜愛を売る男〜
作・演出/小池修一郎

<解説>
 教職を追われ、ハスラー(エスコート・ホスト)に転身した男が、顧客の殺人事件に巻き込まれてしまう。逃亡しつつも真犯人を探すうち、新たな恋に陥る。果たして身の証を立てることが出来るか・・・・・?
 現代アメリカの西海岸。海上カジノ解説に沸く港町。廃校に追い込まれそうな旧市街の高校教師ローレンスは、校長と共に保存運動に励んでいるが、ささいないざこざから、教頭から免職処分を受ける。無名の詩人でもあるローレンスは詩集を自費出版したばかりで、友人のポールに借金を申し出る。ポールは自ら経営する会員制のクラブ「デイタイム・ハスラー」で働くことを勧める。女性が単身で出席しにくい場にエスコートするホスト・サービス業である。ヴィジュアル系のローレンスはたちまち人気ナンバー1となる。
 ローレンスは、市の有力な議員ヘイワードが開いた公営カジノの為の資金集めのパーティに出席、謎めいた美女シルヴィアと出会う。一方、ヘイワードの妻は、ローレンスの顧客の一人キャロルだった。翌日キャロルに呼び出されたローレンスを待っていたのは、息絶えたキャロルの姿だった・・・・・。(ちらしより)→実際の筋は少し違います

<メインキャスト> (プログラムより抜粋)
ローレンス・ブラウン(ゴールド・ビーチ・ハイスクールの教師。詩人):貴城けい
シルヴィア(都市開発研究家。アドラー社長の令嬢):天勢いづる
ヘイワード(市議会議員):壮一帆
ロレンツォ(クラブ DAYTIME HUSTLERの経営者):緒月遠麻

<感想>
「愛は『売る』ものではなくて、『得る』ものです」

 基本的にはラブストーリーだと思う。ただ、都市開発計画→ハスラーに転身→サスペンス、と現代的な話題盛りだくさんだったので、長い時間観ていたような気がした。難点は、始めの都市開発計画は堅い話なので取り付きが悪いので、月組大劇場『JAZZYな妖精たち』がなければ、ヘイワードの選挙からいけばよかったかと思う。また、携帯電話が大きな鍵になるところは現代ものらしさを感じさせた。

 ただ、前半の都市開発計画のところが長い時間をとりすぎのような感じがした。また、後半のサスペンスはもう少しハラハラドキドキしたいところ。もう少しテンポよく、やはり主人公を普通の高校教師にしておいて、ハスラーになったところの大変身・戸惑いみたいな軽い場面を増やしたほうが観客としては面白いと思う。

 「破格の」筋立て、といってしまえばそれまでだが、教師が日本で言うところのホストに転身、という「荒唐無稽」なところはそれはそれで「物語的」だし、最後ヒーローとヒロインが結ばれるところは「お決まり」どおりで、「宝塚的」な粋は外れていないと思う。今や「日本ミュージカル界を背負う演出家」でおられる小池先生の作品だから、そうめったに「はずれ」はない、ということだろう。85点。

 貴城けい。少年時代からの苦い過去から逃避せずに、それを踏まえたうえで得た「こうあるべき」考えを言動や行動で示す人物。MAを亡くしてから空いていた「人を愛する心」にシルヴィアが入ってきてくれて、彼女とやり直そうとする。「ハスラー」を演じると聞いて、軽い人物像を想像して劇場に行ったのだが(あのポスターは扇情的といってもいい)、そうではなかった。とにかく、この人物の「誠実さ」を前面に出した役作りがよくわかった。宝塚的高貴な二枚目路線(『霧のミラノ』はよく柴田先生がみておられる)も彼女ならではの持ち味だが、彼女の外見と骨太で包容力のある演技をミックスしたこの役も彼女の代表作の1つになるだろうと思う。金子は彼女の演技は観ていて納得できるので好きだ。

 天勢いづる。娘役に転向してから1年とのことだが、よくまとまっていると思う。歌はまだ声が細い感じがするが、演技は繊細な心理描写ができていて、なかなか、と思った。シルヴィアは物質的にはなにもかも恵まれているのだが(しかし、本当のセレブが自分で「私セレブだし」というだろうか)、愛情に恵まれない女性。ローレンスとであったことによって、彼の優しさ・包容力に惹かれていき、本当の愛を「得る」という過程の表現がよかったと思う。あと、男役出身者らしい、お色気たっぷりの役もみてみたいところ。

 壮一帆。宝塚的好青年二枚目がやれる人だけに、こういう一言で言えば悪役がやれるかどうかは彼女の今後にかかってくる、といっていいだけ重要な役だ。ヘイワードは「切れ者」といわれるだけに、功名心にはやり、自己中心的で、自分の弱さをドラッグで紛らわせているものの、追い詰められて狂気に至る、という最後の「俺も少しはましなことをしたろ」というくだりがなかったらどうしようもない役である。壮は最後のキレたところなどかなり工夫した演技で、この人の「伸びしろ」を感じた。あとは歌か。

 緒月遠麻。なんとも胡散臭い、日本で言うところのホストクラブ経営者なのだが、出てくるだけで笑えてしまい、印象に残った。昨今は娘役ともなると、研3ぐらいで「出来てしまっている」と感じられる生徒さんが多くて、「育てて観る」という土壌の宝塚において、「この人はこれからが面白い」と感じられる生徒さんが少ない。彼女は金子のなかで、これからが楽しみな存在、宝塚NO1だ。

 あと、「いかにも」といったムードたっぷりで、ドスの効いたマフィアの悠なお輝とヘイワードに利用されるだけの哀れな彼女の涼花リサが印象に残った。


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