Re: 宙組バウホール「Le Petit Jardin」悠未ひろ主演

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340. Re: 宙組バウホール「Le Petit Jardin」悠未ひろ主演

ユーザ名: 金子
日時: 2005/6/14(13:37)

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 こんにちは。バウホールには最前列と最後尾にパイプ椅子席というものがあるのですが、それの最前列のほうに当たってしまい、舞台からの冷房で寒かったた・・・。椅子もすぐ動くし。少々後ろでも普通席のほうがいい、ハイ。

「Le Petit Jardin」(悠未)
宝塚 バウホール 宙組公演
6月13日→補助24

「Le Petit Jardin」
ル・プティ・ジャルダン −幸せの庭−
作・演出/植田景子

<解説>
 南仏の高級フレンチレストランを舞台に繰り広げられる、春らしく爽やかでお洒落なミュージカル。現代の若者たちが、生きる意味や幸せを、手探りで見つけ出していく様を、悲喜こもごもの人間模様を通して描くハートウォーミングな物語。

 南フランスを流れるローヌ川のほとり、素朴な自然の中にひっそりと優雅に佇む古い館、訪れた人が皆幸せになるという、レストラン「Le Petit Jardin」(ル・プティ・ジャルダン)。この店は、伝説のシェフ、ミシェル・シャンティが創設し、彼が亡くなってからは、その意志を継ぐべく、支配人兼シェフソムリエのアランが中心となって店を守っていた。
 ある日、ミシェルの一人娘セシルがこの店を訪れる。ミシェルは自分の唯一の財産であるこの店の相続権をセシルに譲っていた。アランたちは彼女の訪問を素直に喜ぶが、セシルの真の目的は、この店をミシュランの三ツ星レストランへと改造することだった。店のイメージチェンジを計ろうとするセシルと、ミシェルの意志を大切に受け継いできたアランはことごとく衝突する。しかしアランは、セシルのこの店への反感は、仕事一筋で家庭を顧みなかった父親への反抗や寂しさの裏返しだと感じとっていた。
 そんな時、アランは彼女を説得するためにスペシャルディナーを用意する。ミシュラン三ツ星レストランでも味わえない、彼女を幸せにするための料理、メニューは“セシルの庭”。ミシェルが最も愛したそのメニューの中身とは・・・。(ちらしより)

<メインキャスト> (プログラムより抜粋)
アラン(ディレクトール〔支配人〕兼 ソムリエ長):悠未ひろ
セシル(名義上のオーナー・店の創設者、亡きミシェル・シャンティの一人娘):和音美桜
エリーヌ(ガーデナー〔花や庭の世話〕):咲花杏
ジャン(料理長、亡きミシェル・シャンティの愛弟子):十輝いりす
ルイス(セシルの恋人・若手実業家):夏大海

<感想>
 「キャスト目当て以外に観にいく意味がない」

 この作品については前半の遼河はるひ主演分で書いたので、これ以上はあまり書かないでおこうと思う。ただ、今回は平日に行ったが、同じ平日でも大劇場が休みであった花組『くらわんか』より空席が目立ち、こういう若手主体だと演目が相当客の出足を左右するなと思った。

 基本的にちらしで物語の筋が読めてしまうし、起承転結もあまり感じさせられないこの作品、なぜこんなにだらだらと感じるのかと考えてみると、全員の役について説明がされすぎていることがあるかと思う。たしかに主役陣はきちんと書き込まれていないと困るのだが、それ以外の人については言葉が悪いが「その他大勢」でいってしまったほうが、物語がダイナミックに運べるのではないか、と思う。また、歌と踊りのナンバーも増やせたのではないか、と思う。若手全員に見せ場をという植田先生の意図はわかるが、この意図が裏目に出てしまったように感じる。

 それと、この組のメンバーが当たってきた前作は『ホテル ステラマリス』である。ホテルに続きレストランでは、同じ現代物だし変わり映えがしない。作者が別といえども、この辺は配慮が欲しかった。同じ組で2作品連続「リストラ」が飛び出しては正直つまらない。

 それでも、好きな場面はある。二幕の終盤、金婚式を迎えた老ロワゾー氏が1ヶ月前に亡くなった妻をしのんで語り、歌となり、その気持ちに同じく妻を先になくしたアランが共感し、その様子を見てセシルがお金で計れない「人の心のあたたかさ」を感じる場面である。
 ということで、キャストのほうに話を向けたいと思う。

 悠未ひろ。一幕は「若いなあ」と思ってみていた。二幕の過去をセシルに語るところは、過去の自分への憤り、というところも若い感じで、設定年齢(32歳)にはちょっと最後まで見えなかった。しかし、アランという人物に必要とされる包容力は、抜群の長身とスタイルからかもし出される鷹揚としたところとマッチしていたように思う。主演として、堂々と構えているのは「形から」でいいと思う。歌とダンスについては、今回は見るべき場面がないのでまた次の機会に。

 和音美桜。新人公演ヒロインもなしで初ヒロインだが、「宝塚の娘役」としてどうかな、と思っていった。彼女は外部出演『ウエストサイドストーリー』でいきなりヒロイン・マリアを演じたことで名を売った感じだが、いざ宝塚に帰ってどうか、というところである。この作品はセシルの心の動きが軸となっているので、彼女がコケると大変である。演技に関しては始めの利潤追求主義の嫌味なところ、父との思い出がない孤独感、アランへの愛情、と上手く出していたと思う。歌に関してはソロの1曲、まさに「歌はドラマ」の域で素晴らしかった。宙組はヒロイン候補がひしめいているのでどうにか上手いこと各組に配分できないものかな、とつくづく思った。

 咲花杏。難病を抱えつつも、健気でかわいらしい女の子でこの役の課題は果たせていると思う。アランに「愛しているのか」と聞くところもよかった。しかし、最後まで少女のようで、台詞にある「私、22よ」というようには見えなかったことが難か。表情の工夫などしたらどうだろう。彼女はステップアップするには「大人の女性」を演じられるようにならないと難しいと思う。

 十輝いりす。ヌーボーとした、というか天然ボケのような個性が料理長という責任感の強い硬い仕事とマッチしないのがむしろ面白く、この人物を印象付けていた。それでも、一幕終盤の「俺がやめればいい」というところは、必死の考え、という感じがして説得力があった。今後の使い方によっては面白い人材のようだ。

 夢大海。やり手らしいところも、キザるところも、女たらしのところもよかったが、もう少しぐいぐいと改革を進めるタフさが見えるといいとおもう。

 最後に、ロワゾー氏を演じた風莉じんがポイントを押さえていてよかった。

<金子のコラム>
「宝塚よ、原点回帰せえ」

 このところ、大劇場・バウともども新作が前売りされてもかんばしくない。特に今年『ホテル ステラマリス』以降。どうしてこうなってしまったのか。ファンとして考えてしまう。すると上のような答えが出たのである。宝塚に一般観客、そして観光客が求めてくるものはなにか。ずばり、夢とロマンである。芝居は「よく考えたらそんな話ないだろう」でいいのである。5%の現実感さえあれば。そして、ショーは宝塚名物の豪華な羽根が観られたらそれでいいのである。
まず、芝居のほうだが、現段階では革命でも戦争でもかかってらっしゃい、である。だから来年の『ベルサイユのばら』はキャストがどうであろうとも再演には賛成である。できれば、もう5組全部でやって欲しいくらい。「マリー・アントワネットはフランスの女王なのですから」と見得を切られても、オスカルが非業の死を遂げても、それが宝塚というものだ。このごろの、「現実にありそうな宝塚」はよほど上手くいかない限り共感を得づらい。所詮、虚構の男役と娘役という存在が繰り広げる物語なのだから、無理に現実に近づこうとする必要はないと思う。つまりは、格好いい男役と可憐なヒロインが革命の中で引き裂かれ、悲劇になろうが、ハッピーエンドになろうが、そういうのが王道というものだろう。宝塚の舞台で「リストラ」だの「ワークシェアリング」だの聞きたくないのが本音だ。

 つぎにショーだが、『ソウル・オブ・シバ!!』のプログラムで藤井先生が嘆いておられたが、予算は厳しいことは、再利用(というのかな)の衣装多用、で良くわかる。ショーは華やかなものである。一目で「ああ、○○さんが着ていた衣装だ」では困る。これは、ひとつの提言として、やはり、宝塚は大劇場と東京宝塚劇場をメインに置くべきで、他のところでの公演は減らすことにしてはどうだろう。生徒さんたちの様子を拝見しても、今は昔あるトップスターが語った「人間ローソン」状態が多数、という感じである。なにも梅田芸術劇場メインホールにまで進出しなくても大劇場で十分ではないか、と思う。ドラマシティも年3回は多すぎる。始まったころのように、年末だけでいいのでは。
昔、阪急電車の宝塚の広告に「宝塚を観た夜は星が落ちてくる」というコピーがあったと記憶している。宝塚よ、夢を観させてくださいな。


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