[掲示板: ミュージカル一般 -- 時刻: 2024/11/28(12:37)]
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こんにちは。おなじ演目なので「Re」にします。楽しいですよ。スカイステージお持ちの方お楽しみに。
「くらわんか」
花組 宝塚バウホール
2月3日→を列5
バウ人情噺
「くらわんか」
作・演出/谷正純
<解説>
一昨年好評を博した月組バウホール公演「なみだ橋 えがお橋」に続く、古典落語を題材にした人情噺の第2弾。今回は、大阪・枚方、三十石の船着き場の船宿を舞台に、上方落語の主人公たちと、近松心中物語の主人公たちが交錯しながら、荒唐無稽・抱腹絶倒の人情喜劇を繰り広げる。
「くらわんか船」の船頭・八五郎は根っからの怠け者だが、したたかに生きる術を心得ていた。女房に愛想を尽かされ、逃げ出され、やもめになっても、船宿の主人・甚兵衛に取り入り、船宿に居候していた。日々の生活はと言うと、貸すのは断りづらく、返せと催促するのは憚られる単位の小銭を、知り合いに借りて生業としていた。
そんな八五郎を見かねた甚兵衛が、縁談話を持ち掛けてきた。相手は公家奉公をしていた延用伯で、言葉遣いが丁寧すぎるのが唯一の欠点という。丁寧すぎる何処が欠点だと、八五郎は喜んで承知した。
嫁が来ると喜ぶ八五郎喜ぶ八五郎の前に、貧乏神が現れた。金持ちの家に取り憑いて貧乏にするのが貧乏神の仕事だが、気の弱いその貧乏神は、縄張を仲間に取られ、八五郎の所しか行く場所がなかったのだ。貧乏な八五郎に取り憑いても仕事にはならず、逆に八五郎から小銭をせびられ、身の回りの世話をするはめになってしまったのだ。
そして、甚兵衛と貧乏神を仲人にして延陽伯との婚礼の夜、もうひとりの嫁が現れた。幽霊の小糸・・・。人々が花見に興じているのを見た八五郎は、人と同じことをしても面白くないと、ひとり墓見に興じた。その時、倒れた卒塔婆を直し、小糸の霊を弔ったのだ。その恩を返そうと、小糸の幽霊が、八五郎の嫁にして貰いたいと現れたのだ。
昼の女房・言葉が丁寧すぎる延陽伯と、夜の女房・幽霊の小糸、そして女中代わりの貧乏神。八五郎の奇妙な新生活が始まった・・・。(ちらしより)
<主な登場人物> (プログラムから抜粋)
くらわんか船の船頭・八五郎:愛音羽麗
死に損なった梅川:城火呂絵
家主・甚兵衛:汝鳥伶
気の弱い貧乏神:祐澄しゅん
道楽者の若旦那・徳兵衛:朝夏まなと
涙もろい遊女・お初:桜乃彩音
幽霊になった遊女:小糸:梅咲衣舞
言葉遣いの丁寧な女房・延陽伯:華城季帆
<感想>
「ホンマ、『辛抱たまらん』わあ」
作品について、は蘭寿とむ主演版(以下「1月」で)に書いたので改めて書くまでもない。演出も変っていない。しかし、リピーターにとっては、寝るか(右隣の人)、また笑うか(金子)と分かれるだろう。1月より後列だったせいもあるが、金子は結構「おっ、次は金が出てくるでー」と思いながら一生懸命観た。分かっていても面白いものである。大劇場休演日で劇場施設が一部しか開いていないのにほぼ満席で、「真からの宝塚ファン」の偉大な力が分かったような。そんな日に行くとは金子も「あんけらさん」(アホの最上級の意味だそうな)の一人?
カーテンコールで愛音羽麗が、「皆、元気一杯の若いメンバーです。自己紹介しますので、役と顔と芸名を覚えて帰ってやってください」というようなことを言ったのだが、専科のお二人、愛音、以外は下級生が多く、家に帰ってとうとう『宝塚おとめ』(宝塚歌劇団公式の全員のプロフィール本)をつらつらと眺めてしまった。例えば愛音から最下級生まで7年のキャリアの差があるのである。年齢でも7歳違えば相当である。愛音がえらく上級生に思えてきた。こんなに多くの下級生の芸が披露される公演をみるのも、ああ「真の宝塚ファン」の温かさ。四季とか帝劇しか観ない人にはちょっと理解されにくい心情かもしれない。OGの方がよく「宝塚はファンの方が温かい」というのは、こういうアマチュアに近い時代からずっと応援してくれる、つまり「育てて観る」という気質のことをいっているのだろう。
しかし、この公演、来月CS放送で放映されるのである。あまりにも早いのではないか。こんなに早いと劇場パスでテレビだけ、という人がでるだろう。次の星組バウホールはこの花組がよかったからか、各プレイガイドが先行予約に踏み切ったからか、土日は大体売切れのようであるが、やはり放送は1年くらい待って欲しい。
といろいろ書いてきたが、あとは人別に。少しは1月との比較になってしまうかもしれない。また、専科のお二人は1月のときに書いたので省略させていただく。
愛音羽麗。この出ずっぱりの喋りまくりの初主役は単独初主演としては大変だろう。1部ではちょっと声の調子が悪く、1月と違ってお茶を飲むようにして水分補給していたようだ。蘭寿の八五郎は「同年代に比べたら、今までの人生経験以上に頭がよく回る男」という感じだったが、愛音の八五郎は「なんだかしらないけれど生活力のある男」という感じだった。どちらでもいいと思うが、観る前、見た目は蘭寿のほうが町人らしく見えて得か、と思っていたが、愛音も本当の大阪出身からか、にくめないあつかましい大阪町人になっていた。これで千秋楽までいければ十分だと思う。次の大劇場公演でも期待したい。
祐澄しゅん。気の弱い貧乏神が、大阪のどあつかましい連中に囲まれてあたふたするものの、その調子に乗せられてしまう、というところは出来ていたと思う。歌はもうひとつ。ただ、この「気の弱い貧乏神」、存在だけでも相当面白いので、今度は貧乏神こと「ビンちゃん」を主人公にして芝居があれば観たいと思うのだが。
朝夏まなと。もっと情けなく、俗世に未練たっぷりにやらないと印象が残らない。
桜乃彩音。遊女にしては品があるが、気の弱い・優しい女という感じが出ていて、1月の延陽伯とは違った一面を見せた。
梅咲衣舞。研1にしては演技のセンスはあると思ったが、歌はこれから。ファルセットと地声のシフトの仕方からやるべきだろう。しかし、このバウホールは研1だからといってあなどれない力を見ることが出来て、未来の宝塚が頼もしく思えた次第である。
華城季帆。1月のお初より声を張り上げるところが多いので、美声の彼女にはこちらの役のほうがあっていたと思う。最後になると八五郎をしかり倒すところまで、短時間で大変貌。愛音のあとは彼女が最上級生になるので、自覚してしっかりしているように見えた。
いろいろ書いてきたが、この2回連続上演という形態、この感想を書くにあたっては、内容のことは1回目のときに書ききってしまうので、2回ともよく出演者を見なくてはならないな、ということが分かってきた。あと8回がんばって行くぞー。
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