帝国劇場「ミス・サイゴン」市村・松・坂元・岡・石川・tekkan・高島

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265. 帝国劇場「ミス・サイゴン」市村・松・坂元・岡・石川・tekkan・高島

ユーザ名: yasuko
日時: 2004/10/23(21:19)

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帝国劇場「ミス・サイゴン」を4回目を観てきました。

今日のメインキャストは以下の通りでした。
エンジニア:市村正親
キム:松たか子
クリス:坂元健児
ジョン:岡幸二郎
エレン:石川
トゥイ:tekkan
ジジ:高島みほ

ついに、やっと、市村・松コンビを観れました。
すごい!!最高!!今日観れて幸せ。今までで一番満足感が高かった。
さすが、市村さん。もう、”もの”が違う!!もちろん、メジャーリーグのイチローもすごいけど、市村さんにも国民栄誉賞あげていいと思った。

観る前は、音痴だけど私のお気に入りの筧エンジニアには、さすがの市村さんもかなわないと思っていたけど、すごい。うまい。うますぎる!!!絶品だぁ〜!!もし英語がしゃべれたら、世界的に有名な舞台役者になっていただろうなぁ。

私が筧エンジニアが好きな理由は、
人を利用してずるがしこく生きているつもりが、反対に利用されていることもわからず、才能があると自分では思っているけど、才能などなく、でっかい野心を抱いていても、決して成功しないだろう。そして、そもそもアメリカには絶対いけず、結局夢が夢でおわり、あくせくもがいても、不器用な男だと思う。その若い世間知らずの勘違い男を、あの下手なうたをいっしょうけんめいやっているところとだぶり、よく、エンジニアを表現できていると思うところです。

ところが、今日市村エンジニアを観たら、全く違うアプローチをしていたと思う。
最初出てきた時は、おじさんというより、おじいさんで、髪染めればいいのに。。と思ったけど、市村エンジニアは、もう人生にピークをすぎて、実力は衰えて、あとは落ちるだけなのに、自分では気がつかず、あと一花さかせたい、もっともっと自分には可能性がある、もっともっとさらに上を目指せると、年老いた誰もがもつ哀れさを感じさせるエンジニアだったと思います。このエンジニアも”あり”だなと感じました。

それにしても、市村さんはうまい。難度の高い唄ばかりの舞台だと、”xxさん”が”xx”の役をよく頑張っているな。。とか、全力投球しているな。。とか思って観ていたけど、彼は、完全にすべての歌詞を自分のものにして、エンジニアになりきっていた。歌っているという感覚がなかった。”しゃべるように歌う”ってよく聴くけど、このことか。。と思ってしまった。「舞台をやっています」「ミュージカルをやっています」って感じの演技じゃないのですよね。すごく頑張っているのだろうけど、さらっとやってて、自然に見え、全然頑張っているようには見えないところがさすがですよね。
完成度が全然違う。これでは、貸切公演が何本もたつはずだ。。もう絶賛。できればもう一回市村エンジニアみたい!!と強く思いました。

松さんは、モーツアルトのCDを聴いていたので、うまいとは期待していたけど、ここまでとは!!勢いは笹本キムにはかなわないかも知れないけど、わたしは松キムが一番好きです。キムはトゥイが3年も探し回ったほどの女です。勝ち気で、簡単にものになるような軽い女ではありません。でも美しく、そして、男がおっかけたくなる、忘れられないほどの魅力的な女でなくてはいけません。それでいくと、松さんは、うまく表現できていたと思います。
それに、銃を向けられた時や、トゥイが死んだ時に泣き叫ぶ姿は迫真の演技でした。これは、他の3人では見られなかったです。やっぱ演技力でも抜きんでてたと思います。染め五郎もいいけど、松たか子もまけてない。この家族すごい!

1幕の子供ができる前で、キムは「夢があるのよ」「夢がささえ」と歌っています。
子供ができてからは、「息子には才能に応じてチャンスを与えられる、自由なアメリカで、お金にも困らず生活させてみせる」「私の命をかけても、自分が手に入れられなかった物を与えてあげる」に彼女の夢がかわったのですね。いざとなったら女は、そして母は強い。
今回の公演を見て、私は今までアメリカがすごくきらいになって、なんてひどい国かにばかりとらわれていたけど、”命を懸けても子供を守る女のすごさ”にすごく感動しました。貧しい国も名もないひとりの女であっても、”母の愛”の前では、大国アメリカも、男もかたなしだぁ。。ってことですね。

私は「ミスサイゴン」というタイトルの意味を考えてみました。
この舞台で”ミスサイゴン”とは、”誰が一番夢をかなえられたか?”だと思います。
クリスはあの後どう生きようと一生キムを死なせたことが心に残り明るい生活は送れないと思う。あの性格からして生まれ変わってやり直そうとしても、吹っ切れないと思う。つまり、彼は”ミスサイゴン”にはなり得ない。(男だからなれないとかいう意味ではなく。。)

ジョンも自分が紹介した女性のために、クリスが悩んで、キムが死んだことを一生後悔するでしょう。彼も”ミスサイゴン”にはなり得ない。

エレンもタムの成長を観るたびにキムを思い出し、こころから幸せな生活がおくれるだろうか?彼女も”ミスサイゴン”にはなりえない。

エンジニアは、最後にキムが死んだ時、キムが死んだらせっかくここまできたのに、もう少しだったのに今までの苦労が水の泡だっていう地団駄踏んでで悔しがる様子が、印象的でした。これって、他のエンジニアはやってないと思う。彼ももう少しのところで、”ミスサイゴン”になり損ねたのです。

エレンが子供だけなら引き取るけど、まだクリスを愛している母を引き取るのは反対しるのを察知した賢いキムは、今夜クリスが私の元へ来るべきといいました。
そこで、自分が死んで死に際に直接タムを引き取れと、クリスへ言えば、彼の性格上、絶対キムの”夢”は適えられると確信したのでしょう。息子の幸せのため、つまり、”夢”を適えるための、命を懸けた一世一代のおおしばいですね。
最初のクラブでの”ミスサイゴン”コンテストでは、彼女は選ばれなかったけど、人生の”ミスサイゴン”にはキムは勝利を得たと思います。


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