グローブ座「CABARET」

グローブ座「CABARET」を観てきました。
主な配役は次のとおりです。

エムシー：錦織一清
サリー：真矢みき
シュナイダー：今陽子
コスト：星奈優里
エルンスト：新納慎也
シュルツ：上条恒彦
クリフ：岡本健一

先行予約で、それはそれはひどい席があたってしまったが、当日いくと、１階の前列のセンターの席に振り替えてくれた。すごいいい席で見れてしまった。ラッキー！！

８月に来日公演の「CABARET」を見にいった時、正直何がいいたいのかよく分からなかった。最後は、クリフが汽車を飛び降りて、サリーのもとに戻ったのだとばかり思ったけど、今日観て、結末と、そして結局なにが言いたい物語なのか、なんとなく分かった。

それにしても、第一声は、今陽子のうまさが際立った公演だった。
唄も演技も超一流だと思う。あの人気絶頂の若い頃から、唄はうまいとは思っていたけど、これほどこの年で歌えるとは、すごい。ただ、パンフの写真があまりに昔と変っているので、ちょっと愕然とした。そうか、ずいぶんお互いに年とったってことですね。解散後、いろいろチャレンジされ、努力されたのですね。すばらしい。でも、その成果がはっきり今日の舞台で伺えました。すばらしかったです。この「CABARET」って、来日公演のときもそうだったけど、年老いたカップルのほのかな恋と、そのせつなく悲しい結末がとても印象的で、これがポイントのような気がします。ある意味、主役を食った影の主役でしょう。おそらくあの老紳士は、あの後ナチの弾劾で殺されるのでしょうね。そして、なんとなくあの老婦人もいわれのない罪をきせられて（ユダヤ人をかくまったとか。。）彼女もまた悲しい結末を迎えるような気がしてなりません。ただ、ただ、ベテランの今陽子と上条恒彦のすばらしさが、舞台の格を上げて、引き締まったものになったと思います。

クリフ役の岡本健一はかっこいい！チョーハンサム。あれくらいハンサムだと、多少唄がひどくても No Problem です。おばさんはいい男には甘いんです。おじさんが若い女の子に甘いのと同じ原理です。

意外に、エムシー役の錦織さんは、よかったです。しゃがれた太い声も、声量も、演技も、すばらしかったと思います。パンフやポスター観ると、結構気もいけど、私は、来日公演のエムシーよりいいと思いました。ひょっとしたら、年取ったら、東山さんより、こっちのほうがすごくいい役者になるかもです。

ナチスの迫害で、結局最後は、全員死んでしまうような気がしました。老カップルだけではなく、サリーもエムシーも弁解の余地もなく、あっけなくむなしく殺されてしまうようでなりません。唯一、星奈さんの娼婦だけが、うまく生き延びるような気がしました。そして、クリフは遠く離れた祖国から、サリーを思い忍んで、たくさん詩を書きつづけるのでしょう。
戦争も、宗教・政治的な迫害も、誰がどんな理由で、弁解の余地なく、言われない理由で、いつ理不尽にも殺されるかわからないということですね。なんだか、ミスサイゴンと南十字星にも通じるよう。

そして、問題のサリーですが、真矢みきさんのファンには申し訳ないけど、これはミスキャストだと思います。
サリーって、顔はそう美しさは要求されないと思います。特に最後のキャバレーのナンバーなんて、一番の見せ場だし、はじけてパンチのきいた、どすを利かせた、いろんな悲しみや、やりきれなさを絞り出すように、おもいっきり、歌い上げないといけないのに、歌唱力がなさすきます。声量が足りない。音程がはずれすぎ。全体的に音程がフラットしている。
パンチがない。どうしても、宝塚ファンの集客を見込みたいのであれば、樹里咲穂さんなら、いいかもと思います。あれくらいの歌唱力がないとこの役は無理です。残念。

今週は「髑髏城の７人」と週末には、４連続して神奈川の「風と共に去りぬ」を見にいきます。４枚もチケットかいすぎたかな？？と、ちと後悔していますが、いつまで現トップコンビ観れるかわからないので、宙組の応援にいってきます。どうか私が東京にいる間はやめないでくれと祈るばかりです。