帝国劇場「ミス・サイゴン」筧・新妻・坂元・岡・高橋

帝国劇場「ミス・サイゴン」をやっと１回目を観てきました。

今日のメインキャストは以下の通りでした。
エンジニア：筧利夫
キム：新妻聖子
クリス：坂元健児
ジョン：岡幸二郎
エレン：高橋由美子
トゥイ：tekkan
ジジ：杵鞭麻衣

ランダムに感じたことをあげると、

１）ジジ
はっきり言うと、メインキャストとして、クローズアップされるような役ではなかったです。最初ソロ歌があるから、わざわざ名前がでているだけのような気がします。それにこの杵鞭さんって、日大で声楽を学ばれたとかプログラムに載っていましたが、その割には声が悪い。日大ってこの程度？って感じました。

２）プラグラム
最近の帝劇のプログラムって、やたら分厚くて重い。
この重さだと、帰りに腕が疲れるんですよね。
背景とかちゃんとわからないと楽しめない客がはっきり分かるような説明をつけろとでも、アンケートに書いたのでしょうか。
こういう娯楽は、わからないなら、勝手に想像して楽しめばいいのよ。はっきり、正解にわからないと気が済まないのであれば、何度も観に来るか、事前に自分で勉強すればすむこと。
こんなやたら思いプログラムで、１，５００円って、皆さん納得してるんでしょうか。

３）トゥイ
声はいいとは思いません。低音の歌が多いから、彼の得意な声域ではなかったのかも。。でも、”顔”が、この役にぴったりで、かっこよかったです。

４）エレン
私のお気に入り、高橋由美子は、うますぎず、下手すぎず、かわいすぎず、美しすぎず、若すぎず、としすぎず、超人気すぎず、程よい知名度、程よい聞きごたえのある歌唱力。私のような素人には、本当にいい意味での、手ごろな帝劇での、欠かせない存在です。
こういう程よさって、必要なのです。今や日本のミュージカル界で、貴重な戦力です。
ただ、このエレンって、彼女にはちょっと物足りないかなと思いました。もうちょっと見せ場がある役なら。。童顔だから、キムでも十分いけたと思うのですが。。

５）ジョン
岡さんの”顔”はこのジョンにぴったりでした。２幕最初のブイ・ドイでは、ちょっと涙が出そうになりました。そう、こういう子供たちって世界中の、戦争があった国、そして、米軍基地がある国にたくさんいるのですよね。
本当にアメリカ人って、罪な人種です。
ジョンは一見紳士的で、誠実そうですが、私は、だんだん観ていくうちに、アメリカのエゴを象徴しているように見えました。
戦争をどんな大義名分をかかげて正当化してやっても、所詮人殺し。その後、どんな立派なことを国際会議で偉そうに演説したって、偽善でしかない。
うちの会社のアメリカ人も、会議になるとやたら発言して、本当に立派なことを言うけど、そんなに言うんなら自分でやってみろって言いたいけど、実際大変なことをやるのは、他の人にやらせて、口だけ立派なのよね。
アメリカ人がいなくなったら、世界中から戦争がなくなるかもって真剣に思います。岡さんは良かったけれど、ジョンは本心はどういう人間かわかんないと疑いを持ってしまいました。

６）クリス
DIVA 2004 で井上さんが歌った歌がここで歌われるんだ。。って思って聞いてました。うまいですね。声が割れてないし、井上さんに負けず劣らず、さすが坂元さんの歌はいつもすばらしい。役代わりで、８月にジョンをやられたみたいですが、彼のブイ・ドイも聞きたかった。

７）キム
何といっても、キムが歌いまくりますね。新妻さんのレミゼのエポニーヌは最高でした。そして、期待道理、今回もすばらしい。よく声が出ます。あれだけ歌えれば合格でしょう。将来はブロードウェイにたちたいとか、大きなことかいていますが、世界に通用するかどうかはわかりませんが、少なくとも帝劇であれだけ歌えれば、大満足です。ほとんど２時間半めいっぱい、「ＪＣＳ」か「オペラザの怪人」かと思うくらい、ものすごく思いっきり歌いまくりです。すごい。他の４人のメンバーの中では、他の人はまだ見てないけど、彼女がベストではと思います。この役こなせる人、そうそういないでしょう。初演はどなたがやられたのだろう？？
キムって、すべての登場人物の中で、一番強い一貫した気持ちで生きたと思います。強く、甘えてなく、潔く。。でも、だからそれが報われるわけではないのが、悲しい人生です。でも、死ぬ瞬間も、悲しいとか、かわいそうとかはかん島戦でした。彼女の中では、納得して、完結して、そして彼女で決断した結末です。こんな生き方をさせざるを得ない戦争はもうたくさん。

８）エンジニア
筧さんの日を選んだということは、私もうまい歌を聴こうなんて、さらさら思ってチケット買っていません。つかこうへいの舞台とか、機関銃のように喋り捲り、迫力ある舞台をみせてくれます。彼が歌がへたでも、どれだけミュージカルで、魅せてくれるかを楽しみに見にいきました。
さすがに、１幕は、我慢しました。
声が堅い。
音程が全体的にずれている。
歌詞が聞き取りにくい。
でも、２幕から調子が出たのか、私が下手な歌になれたのか、へたでも、エンジニアのいい味が出せていたと思います。
彼がエンジニアだからか、そもそも「ミスサイゴン」が不人気なのかは、わかりませんが、１階の中段の日曜なのに、私の前の列はずらっと空席でした。市村さんと比べれば（あちらはプロですから）劣るかもしれないけど、話の種に筧さんの公演もそんなに悪くはないと思いますよ。少なくとも、去年の「イーストウィックの魔女達」の陣内さんよりかは、全然ましです。この後、彼がやっぱ歌はいいやと思うか、内野さんのように、公演終了後勉強されるか楽しみです。歌がもっとましになると、演技力はありますから、結構将来すごいかもと期待しているのですが。。
懲りずに勉強してください。
エンジニアって、もがいて、もがいて、観ていてむなしい。決して悪い人とは思えない。所詮だめな人はだめっていわれているようで、これも人生なんです。
貧しい国の立場の下の人間が、いくら誠実でも、いくらもがいても、屑にすぎず、何も跡形残らず消え去ってしまうっていわれているようで、世の中の不公平を感じます。どんなに頑張っても、世界でアメリカが一番優秀だという世界の構図ができあがっていて、彼らがたとえ間違っていてもエゴが通り、彼らにこびなきゃ生きていけない事実があるのですよね。これが変らなきゃ、戦争もテロもなくならないと思います。何もかもアメリカのせいにして、ずいぶん私も偏見に満ち満ちた人間です。

すでに観劇した知人に聴くと、暗くてつまんないと言われました。
確かに凄く楽しいとか、凄く感激するとかいう舞台ではないです。
でも、これは実際あったことで、今も似たことが起きているし、これからも起きる可能性があることです。なんとなく考えさせられる内容で、１回は見る価値がある舞台と思います。

それと、話変りますが、来年の帝劇のラインナップ早く発表してほしい。
１，２月はまた、「SHOCK」らしい。またやるのかよって感じです。ジャニーズはグローブ座でやってほしい。宙刷りの設備がないから？でも確かに帝劇を完売できるのは、この不景気では、山口さんか、ジャニーズだけですからね。
それにしても、「モーツアルト」いつやるんだろう。前回と同じじゃなくて、厳選なるオーディションで、うまい人発掘してキャスティングしてほしい。質の高い、面白いミュージカルをお願いします。元宝塚トップという肩書きだけで、歌のへたくそなのは、もうみたくないです。帝劇にたちたいなら、ある程度のレベルを超えた人だけにしてほしいと切に願います。