[掲示板: ミュージカル一般 -- 時刻: 2024/11/28(14:51)]
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<p>完全主義者で知られるジェローム・ロビンズが「ウエストサイドストーリー」を託した若い演出家による舞台、「話題の」というだけではない何かがあるはず、と期待を込めて観てまいりました。
ここはミュージカルファンの方の掲示板、ということで、バレエファンの私の見方はかなり偏ったものかもしれませんが、ダンスに関しては予想以上の仕上がりで、アメリカ生まれの最初のバレエマスターの作品の見事な蘇りを目にしたと思いました。
バレエを「私たちの文化」と呼ぶフランス人、ロシア人を前に、ミュージカルというアメリカの文化のなかで、ロビンズの築き上げたオリジナルの「美」は、舞台版ならではの「バレエシークエンス」でひとつの頂点を見せてくれました。「視覚でとらえるハーモニー」というものを初めて実感する、一切の装飾を排した舞台はダンス=肉体/生命の躍動に対する人間の原初的な憧れをかきたてるに充分でした。
映画収録時にはロビンズがOKを出さず、まったく撮影が進まなかったといわれる「クール」「JET BALLET」等も、私の見た4回の上演に関しては高い完成度を維持していたと思います。
そしてそれを単なる技術のコンビネーションに終わらせなかったタイガー役の青山航士の表現力は目を見張るものがありました。難所の殆どが彼のパートでしたが、緻密な演技と高い技術がみごとに融合し、ミュージカルのダンスに求められるすべての条件を満たしていたと思います。
アイドル事務所が主催である、ということで批判的な視線を浴びやすい作品であったとは思いますが、私が感じたのは演出家ジョーイ・マクニーリーの作品継承にかけるエネルギー、そしてキャスト、スタッフの非常に健全な創造への渇望でした。そしてこの20世紀の名作が、今世紀に命をつなぐための丁寧な丁寧な作業をこの目で見たということに満足しています。
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