梅田コマ劇場「マイ・フェア・レディ」

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225. 梅田コマ劇場「マイ・フェア・レディ」

ユーザ名: 金子
日時: 2004/8/10(14:53)

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 こんにちは。暑いですね。「梅田コマ劇場」と書くのは今年一杯になりそうですが、来年はどうするのか早く決めて欲しいところです。それではお願いします。

「マイ・フェア・レディ」
梅田コマ劇場
8月9日 1階7列25 →家族で観劇

東宝ミュージカル特別公演
「マイ・フェア・レディ」

〔オリジナル・スタッフ〕
脚本・作詞=アラン・ジェイ・ラーナー
音楽=フレデリック・ロウ
アメリカ版製作=ハーマン・レヴィン
バーナード・ショウ=原作「ピグマリオン」&ガブリエル・パスカル製作映画(ピグマリオン)より
オリジナル・プロダクション演出=モス・ハート

〔日本版スタッフ〕
演出=西川信廣
振付=上島雪夫
訳=倉橋健
訳詩=滝弘太郎・若谷和子

製作=東宝

<メインキャスト>
イライザ=大地真央
ヒギンズ教授=草刈正雄
ドゥーリトル=上條恒彦
ピッカリング大佐=浜畑賢吉
フレディ=岡幸二郎
ヒギンズ夫人=丹阿弥谷律子
トランシルバニア女王=月丘夢路
ゾルタン・カーパシー=藤堂新二
ピアス夫人=冨田恵子
ハリー=安崎求

<感想>
「大地真央のイライザの右に出るのは難しいなあ」

 「マイ・フェア・レディ」といえば思い出すことがある。真央さんの帝劇初演のときに東京に出たばかりで、どうしても行きたくて、東宝テレザーブの存在も知らなくて、いきなり帝劇に電話したのだが、「真央さんの『マイ・ファア・レディ』のチケットは1枚もありません!」と、がちゃんと切られて、田舎者を思い知った経験がある。その後、某カードの貸切で、なんと1階1列が回ってきてリベンジしたのだが、あまりの真央さんの美しさに「いや、完璧なイライザだ」と思ったのを覚えている。

 さて、今回はそういうわけで2度目の観劇となるのだが、前回とあまりキャストも変っておらず、安心して高いクオリティの舞台が観られると出かけた。演出、装置などが、21世紀版ということで変っていたが、「スタンダードの良さ」が味わえる舞台だった。このごろは『エリザベート』や『ファントム』など、ハッピーエンドではない舞台が人気を集めているが、自分としてはハッピーエンドのミュージカルが好きなので、永遠に好きなミュージカルベスト1になるのだろう。無駄なところなどどこもなくて、名曲ぞろいで、観終わって、「ああ、やはりこれは永遠の名作だな」という思いを強くした。あとは人別に。

 イライザの大地真央さん。この人の持つ多くのレパートリーの役でやはりこれがベスト1、といわざるを得ない。競馬場でのコミカルなところはフレディでなくとも笑えてしまうし、そのあとの淑女ぶり、そして自立した女性、と上昇志向が強い女の子を完璧に演じていた。特に最後のピンクのドレスで降りてくるところは息を呑むばかりの美しさだ。この美しさと、歌・踊り・演技が出来る人、となるとなかなか見つからないだろう。次にこの役を引き渡すのはまだ先の話だろうな、と思った。やはり、真央さんのイライザは最高である。

 ヒギンズ教授の草刈正雄さん。このミュージカルの役の中でこの役が1番難しいのではないか、と今回思った。ヒギンズはイライザに「エゴイスト」といわれるように自己中心主義なところがあり、また「人の気持ちを考えない」とも言われるのだが、これは感情、ましてや愛情表現が下手なのである。イライザの教育のことも「中流階級とその下の溝を埋めるべくやっているのだよ」というように、考えているのである。結局、倣岸なインテリという典型的な教授像から抜け出そうともがく一人の男性なのである。草刈さんはすごく外人らしく見えたし、母親の家で、イライザへの思いをなんとかして伝えようともがくところなど「あー、不器用な人だな」と理解できた。ただ、歌は映画のように語るように歌っているのだろうが、歌詞が聞き取りにくく、歌ってしまっているところのほうが良かった。

 ピッカリング大佐の浜畑賢吉さん。イライザのことをわかってやる「好好爺」という感じではなく、「常識人」という感じだった。ヒギンズに振り回されているようで、自分のペースを守っているところがなんともバランスが良かった。

 ドゥーリトルの上條恒彦さん。マイクの都合だろうか、台詞・歌詞ともに聞きにくくてせっかくいいナンバーが残念だった。しかし、ドラ親父ぶりは板についたものである。

 ヒギンズ夫人の丹阿弥谷律子さん。なんとも品のいい上流階級の老婦人で、イライザの出現に初めは目を白黒させるものの肩を持つようになるご夫人を出てくるだけで柔らかい雰囲気が漂って流石だった。また、息子の服装に文句を言うところも母親の暖かさを感じた。

 フレディの岡幸二郎さん。「♪君住む街で」がメインだが、この人をもってすれば完璧に歌い上げていたし、役が軽すぎる感じもした。

 このほかには、カーパシーの藤堂新二さんのうさんくささは面白かったし、ハリーの安崎求さんの歌唱と帽子の扱いの上手さが印象に残った。

 とにかく「ウエルメイド」という言葉がぴったりの、「これぞミュージカル」というものを観てきたと思う。猛暑の中暑かったけれど、行ってよかった。

<金子のよしなしごと>
 この梅田コマ劇場は阪急に売却されて、大阪なんとか劇場に名前を変えてやるそうだ。演歌歌手芝居を少なくし、ミュージカルや宝塚をやる、ということだが、宝塚に関しては来年7月に月組が決定したが、いったい何をやるのだろう。自分としては日生劇場でやったものをこちらでやってほしいのだが。また、今年のようにジャニーズもあるのだろうか。しかし、宝塚はドラマシティ3回、コマ1回で果たして上手く回るのだろうか?あまりの激務になるのなら、この際、1つ組を増やしてもいいかも、と思う。現在の宝塚はトップ候補生が多すぎる。とりあえず、早くコマの来年のラインナップを発表して欲しいところだ。しかし、演歌歌手の方々は、これから東京は新宿コマでやれても、大阪は新歌舞伎座に行くしかないから大変だろうな。


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