Re: 宝塚花組「飛翔無限」「天使の季節」「アプローズ・タカラヅカ」宝塚大劇場

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163. Re: 宝塚花組「飛翔無限」「天使の季節」「アプローズ・タカラヅカ」宝塚大劇場

ユーザ名: 金子
日時: 2004/1/16(16:37)

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こんにちは。2階A席でしたが、雪組の特出も観れました。しかし、こんなしょーもない公演、久しぶりですね。東京公演はチケット取れやすいでしょう。

「飛翔無限」
「天使の季節」
「アプローズ・タカラヅカ!」
花組 宝塚大劇場公演

1月10日→1階12列24(星組トップコンビ特別出演)
1月15日→阪急百貨店友の会招待会(雪組トップコンビ特別出演)2階A席 母と観劇

記念祝舞
「飛翔無限」
作・演出/植田紳爾
<解説>
 宝塚歌劇90周年という、記念すべき年の幕開け。100周年に向けて、さらなる飛翔を、さらなる発展を、との想いを込めて綴った荘厳な祝典舞踊。春日野八千代、松本悠里、轟悠の主演でお贈りする。(ちらしより)
→今の東京宝塚劇場開場時に上演された『いますみれ花咲く』の短縮版の感じで、約15分の祝舞なので感想はなし。ただ「春日野八千代的生き方」というものを考えさせられてしまった。

祝典喜歌劇
「天使の季節」
作・演出/植田紳爾 演出/中村一徳
<解説>
 祝典にふさわしい、明るく楽しいコメディー作品。ヨーロッパの小国カネロニヤでは、国王の90歳の祝賀会が開催されようとしていた。同時にこの会は、ひ孫娘マルゲリタの、アラビアの皇太子・アッサーラ王子との婚約発表も兼ねていた。しかしマルゲリタは、留学したパリで出会った売れない芸人のギスターブと愛し合っている。そんな二人を助けようと、親友たちが王宮にやって来て・・・。(ちらしより)

<メインキャスト>
ギスターブ(28歳 パリの芸人、マルゲリタの恋人)/ペスカトレ(90歳 カネロニヤ国王):春野寿美礼
マルゲリタ(20歳 ラザーニアの娘):ふづき美世
アッサーラ(35歳 カリブ国の皇太子、マルゲリタの婚約者):瀬奈じゅん
ラザーニア(45歳 ペスカトレの孫娘):大伴れいか
アベルタン(26歳 パリの芸人、ギスターブの親友):彩吹真央
ジョルジュ(26歳 パリの芸人、ギスターブの仲間):蘭寿とむ

<感想>
「一言。つまらん」

 栄えある90周年の幕開きにこんな演目で、情けない・・・宝塚、とファンだからこそ思ってしまった。10日の一緒に行った友人は「眠くなった」というし、15日の母は「御伽噺が好きなのは子供ばかりじゃない、と歌うなら大人向きの内容にしてよ。これじゃ小学生向きだよ」と2人ともあきれモード。金子も3回観る予定だったのだが、2回で顎が出た。これぐらいの内容なら1時間5分もかけなくても45分ぐらいで十分だし、アッサーラを追って動き回ったり、客席で鬼ごっこをしたり、まったくナンセンスという言葉がぴったりだ。東京公演までにどうにかしないと駄目だー。これ以上かきようが無いので人別に。

 春野寿美礼。90歳の国王と王女様を愛するしがない芸人の演じ分けは、母が終演後まで気づかなかったほど上手かったが、ギスターブの方はプログラムなどでは「二枚目だけど気が弱い」となっているのだがあまり気が弱そうに感じなかった。これは春野というスターの個性が、芸名から連想されるスミレ色のふわりとした二枚目ではなく、むしろ紺色の1本筋が通った男性像、というところからきているのかなと思った。この芸名とのギャップが春野の魅力であるのかどうか・・・これ以上は書かない。前作まではあまり個性を感じなかった春野だが、だんだんその個性が見えてきたような感じがする。

 ふづき美世。利発で現代的なお姫様だが、もう少し品があってもいいような気がした。また、もう少しマンガチックなかわいらしい動きがあってもいいかとも思った。

 瀬奈じゅん。一番この芝居でかわいそうなのはこの人である。「魅惑の王子」なんて自信満々で王国に乗り込んできながら、ギスターブたちにだまされ、危険人物にされ、最後は「私は無実〜♪」なんて歌わなくてはならない、「巻き込まれ型」人物だ。これは、設定を外見はすっとした二枚目の「魅惑の王子」だが、内面は話してみるとあら、という愛すべきナルシストにしておいた方がずっと面白いのに、と思った。そうすれば、病名など持ち出さなくてもすむし、やりがいがあると思うのだが。一番損な役になってしまった。ただ、「♪魅惑の王子」の歌は結構面白くて個人的には気に入った。

 大伴れいか。マルゲリタのお母様だが、いつも渋い男役のこの人が、こんな優しい包容力のある声が出るとは思わなかったのでちょっと驚いた。娘に無茶苦茶理解のある母親で落ち着いていて、王妃様といわれる品があって良かった。

 彩吹真央。ギスターブの仲間なのだが、意外と割り切りよくコメディのノリがあり、大阪弁で話したり、女装のときの言葉は変だし、スーパー系カード会社の貸切のときは春野の早変わりを待つ間の時間稼ぎに「ギスターブ、遅いなー。あいつスーパー行ったのかな。カード持っていた?」と結構TPOにあわせたアドリブも飛び出して出演者の中で一番はじけている印象を受けた。殿様とか貴族の役が多くて、理知的で頑固というイメージが大分打破された。

 蘭寿とむ。同じくギスターブの仲間なのだが、相方の彩吹に比べてコメディセンスがなくて、台本どおり、という感じがした。

 こうやってみて来ると、「コメディって難しいな」というのをつくづく感じたし、重いお芝居が続いている花組にとってコメディは難関なのだな、とも感じた。これなら『再会』(99年)のような軽いお芝居ぐらいにしておいた方がずっとましだったのではないだろうか。正直、ファンとして正月のNHKBSの生中継がこちらでなくて良かったな、と胸をなでおろしている。東京公演、とにかくどうにかしてください。

レビュー・スペシャル
「アプローズ・タカラヅカ!」−ゴールデン90−
作・演出/三木章雄・藤井大介・齋藤吉正
<解説>
 宝塚歌劇90周年の冒頭にふさわしく、宝塚の魅力のすべてを見せる、ゴージャスで明るく楽しいレビュー。真紅で表現される情熱的なプロローグから、黄金の輝きの中で出演者たちが煌くフィナーレまで、色彩あふれる世界を繰り広げます。(ちらしより)

<感想>
「ショーといえども1本の作品は1人の先生の手によるべきだ」

 本当のところは「90周年の幕開きを飾るに相応しい豪華なショー」とか書きたいのだが、どうも脈絡が無くにぎにぎしく1時間が終わるのがなんとも残念だ。母は「ストーリーがない」と言ったが、ショーにストーリーは求めずとも、1本を通してのつながり、脈絡、みたいなものは必要だと思う。
 今回は
  大枠→ベテラン三木先生
  中詰め前の1ブロック→無国籍の齋藤先生
  中詰め後の1ブロック→客席なだれ込みと男の哀愁の藤井先生
ということだろうが、まず、プログラムにどのブロックがどの先生の担当であるか、くらいのことは書いて欲しい。ファンは「歌劇」を読むとか、それなりに推測するが、団体客などは統一感のないショーに思えると思う。
 今年の大劇場のショーの担当をみて見ると、岡田先生1本、草野先生2本、荻田先生1本、海外の先生1本、とあり、あと2本がこの3人で、ということになっているが、海外公演も手がけられるベテラン三木先生にこの年頭の1本は任せるべきではないか、と思った。3人競作は年末の1本だけでいいと思う。
 とにかく、3人でやれば豪華になる、というものではないということが良く分かったショーであった。あとは各場面を書いてゆく。

第1場〜5場 アプローズ・タカラヅカ!
 銀橋の春野寿美礼の歌から始まるのだが、些細なことだがマイクが耳から頬のところにあるのをショーで使うのは違和感を覚えた。大作ミュージカルと違い、ショーは衣装を次から次と変えて顔を綺麗に見せて欲しいものだから、マイクは襟のところの従来のピンマイクでいいと思うのだが。皆さんどうでしょう。マイクのことは置いておいて、赤のプロローグで活気があり、スターも次から次へと銀橋を渡ってくれるのはいいが、客席なだれ込みは正直2階席にいると疎外感すら覚える。全員前のめり。「2階席安くしろよー」と変な怒りを覚えてしまった。

第6場〜9場 SAVAGE−K
 この場面は元旦CS放送を見ていてもどういう筋なのかさっぱり分からなかった。プログラムを読まないと分からないシーンを作るのは問題だなあ、齋藤先生、と昨年の『満天星大夜總会』につづいて思ってしまった。瀬奈じゅんにからむ舞城のどかはアダルトなダンスを踊る人だが、タカラジェンヌである品をなくさないのが好感を覚える。

第10場〜12場 パリ・フローラ→第13場〜14場 スワレ・ド・パリ
 一番初めのダルマ衣装での彩吹真央の歌は、男役でも女役でもない魅力とパンチがあり、「へー、この人こんな歌を歌うのか」と感心してしまった。彩吹はこのあとの「♪アメイジング・グレイス」もよく歌っており、全体に歌が多く、コメディのはじけようと合わせて、3番手の地位を確固にしたように思えたし、舞台人としての充実振りを感じさせた。実際このショーでは、この彩吹の歌が一番印象に残った。
 このあと中詰めは、パリを愛した、コール・ポーターの「♪Just One Of Those Thigs」(金子の一番好きなポーターの曲)で盛り上がり、三木先生のジャズのテイストを感じさせて終わった。

第15場〜17場 裏街の堕天使
 藤井先生の「男の哀愁」+ANJU先生振り付け、の場面であるが、こちらの筋は良く分かった。いつみてもANJU先生(元花組トップスター安寿ミラさん)の振りは格好いい。現在の花組の男役陣がもうひとつ、先生のアンニュイなところを表現してくれると嬉しいのだが。昇天のシーンは花組の力が一体になっているのが良く分かった。

第19場〜23場 パッション・ノワール
 「♪マラゲーニア」をたっぷりつかった長い場面であるが、ここも良く揃っていて良かった。最後の春野の歌はプログラムにあるとおり「絶唱」だった。難を言えばふづきにもう少し色っぽい絡みができればいいのだが。それと全体に観て、春野のダンスはどうもカウントが分かってしまいそうで、歌ぐらいの実力があがってくるといいのだが。これは朝海ひかると一緒に踊っているとき特にそう思った。

 全体に観て、90点というところか。1時間と長めのショーであるがいつもより5分長いだけなので、あっというまだった。ただ、衣装が90周年の新年早々全部新調といかないのは少し宝塚の経営が見えるようで寂しかったが。まあ、東京は知らないが、大劇場平日の2階席をみていると仕方ないか、というところである。最後に母の終演後の1言で終わる。
「こんなつまらない公演、2度と観たくないわ。あんた、まだ来るの?」

(各組特出の感想)
星組→やはり湖月わたるはダイナミックさが売りだな、と感じた。春野を羽交い絞め(?)にするようなところでは、マジに怖かった。ダンスは春野より上級生なだけに見せ方を心得ている。真ん中で踊っていると求心力がある。檀ちゃんは、髪型もっと変えて欲しい、という感じ。でもこの2人のエトワールというのはちょっと無理があるのでは?

雪組→やはり朝海&舞風コンビは春野&ふづきコンビよりダンスが上手い!デュエットダンスでは舞風が朝海のブラウスのフリルのように絡み付いて息がぴったりだし、「いつまで支えなしで反っていられるの?」といいたくなった舞風、いつもの公演では色々書いてしまうがダンスで見れば端正で見せる(魅せる)ダンスができる朝海と2人はダンス巧者であることが良く分かった。中詰めの朝海をみていると「コムさん、次のANJU先生の振り踊ってよ」と夢想してしまった。エトワールは星組といい勝負だろう。


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