[掲示板: ミュージカル一般 -- 時刻: 2024/11/29(04:39)]
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こんにちは。早々に2回観まして月組の感想かきました。次で終わりたい方には「65点です」以上です。今回は1つ、提言をコラムにしてみました。大劇場2階席寂しすぎる・・・、スターみてくれない・・・。ご意見のある方はリプライを。それではお付き合い願える方宜しくお願いします。
「薔薇の封印」
宝塚歌劇 月組公演 宝塚大劇場
11月29日 1階12列 9・10→母と観劇
12月4日 1階4列51
ミュージカル・ゴシック
「薔薇の封印」−ヴァンパイア・レクイエム−
作・演出:小池修一郎
<解説>
21世紀を迎えた今も、人々をミステリアスなロマンへと誘う存在・ヴァンパイア。そのヴァンパイア伝説をもとに、不老不死となった青年が世紀を超えてたどる数奇な運命を描く大作ミュージカルである。美しくも哀しい主人公を演じるのは紫吹淳。宝塚屈指の名ダンサー・紫吹にとってサヨナラ公演であり、彼女が踊る数々のダンス・ナンバーは必見!
物語は中世の中央ヨーロッパの「薔薇の谷」で始まる。密かに生き続ける幻の種族ヴァンパイアの正当な後継者となった騎士フランシスは、時の彼方に消えた恋人を捜し求め、時空をさまよう。封じられた魔力を悪用しようとするヴァンパイアの末裔ミハイルも行き続け、両者は追いつ追われつ時を超える。ある時はルイ14世の宮廷に、また20世紀にはナチス・ドイツの台頭するベルリンに現われる。それぞれの歴史の狭間に、彼は何を見、また何を残したか・・・・。(ちらしより)
<メインキャスト>
フランシス・ド・バロワ(プロローグ・第1・2話)/
アレクセイ・コルサフスキー侯爵(第3話)/
アンドリュー・F・ジョーンズ(第4話):紫吹淳
ジェニファー・マッカートニー(プロローグ・第4話)/
リディア(第1話)/ポーラ(第3話):映美くらら
ミハイル(第1話)/マダム・ノアール(第2話)/
カイザー中佐(第3話)/マイケル・バートン(第4話):彩輝直
リルスキー(プロローグ・第4話)/領主ガブリエル(第1話)/
レーム(第3話):星原美沙緒
カッサンドラ(プロローグ)/デイ・フラッソ男爵夫人(第3話)
:五峰亜季
マリア(プロローグ・第4話)/マダム・ヘルガ(第3話):夏河ゆら
レンフィールド(プロローグ・第4話):光樹すばる
ロバート(プロローグ・第4話)/フィリップ(第2話)/エミール(第3話)
:大空祐飛
クリフォード(プロローグ・第4話)/ルイ14世(第2話):霧矢大夢
ピーター(プロローグ・第4話)/アンリ(第2話):月船さらら
サラ(プロローグ・第4話)/アンリエット(第2話):紫城るい
ニコラ(第4話):北翔海莉
<感想>
「よく考えれば『いいヴァンパイアの大冒険』で終わってしまう話」
正直、感動しなかった。小池先生の作品でこの題材、と言われれば、クラシカルでロマンチシズムが溢れ、最後に心の中にしっかり残るものがある、と期待して行ったのだが、小池先生としては珍しい「スカ」のほうに入るのではなかろうか。上の文章を続けるなら、「いいヴァンパイアのフランシスは700年の時を超えて『不死』の運命を受け入れ、2003年になってようやく宿敵ミハイルを倒して、ジェニファーを素直に愛そうと思いました」で終わるだろう。同じ「不死」をテーマにした、今年の花組ドラマシティ公演『不滅の棘』の方が主人公は刹那的にかつ虚無的に生きていたせいか、感動した。
感動しない理由はとにかく「帳尻あわせの理屈」が多すぎることにある。それを理解するために客席で「?」がぐるぐるとでてきてしまうので、とにかく東京では改善をお願いしたい。4つほど例を挙げるが、
〔1〕5輪の薔薇にそれぞれ意味があり、それを全部集めると力が増す、というのは、今年宙組バウホールでやっていた『里見八犬伝』のパクリとしか思えない、と後ろの人の指摘。確かに著作権に引っかからないといえ強引な印象を与える。
〔2〕なぜ2003年、薔薇の僧院の十字架の前まで、フランシスVSミハイルの対決が延ばされるのか?現代まで延ばす必要がどこにあるのか?単なる上演時間延ばしとしか思えない。そのミハイルがやっつけられてただ消える、というのもあっけなさすぎる。ミハイルがどうして消えたか説明が必要。
〔3〕首に噛み付くのも、悪いヴァンパイアが噛み付くと邪悪なハーフヴァンパイアになって、いいヴァンパイアが噛み付くと元の人間に戻る。しかし、噛みつかれた人間のハーフヴァンパイアは他の人間に噛み付いてもヴァンパイアに出来ず、ぐったりさせるだけ。ともうここまでくると「勝手が良すぎる」としか言いようが無い。
〔4〕最後にフランシスはジェニファーにキスをするが、初めて観たときはてっきりヴァンパイアにすると思ってしまった。「ヴァンパイアにしないけれど、ずっと一緒にいるよ」という台詞ぐらい必要。今のままでは多分、ほとんどの観客はヴァンパイアにされると思うだろう。
結局、「無理やりつなぎのオムニバス形式」+「脈絡が無い」ということになってしまい、感動しているより頭の整理の方が忙しい作品になってしまった。65点。観るべき所は「紫吹淳のカリスマ性」にかかっている。やはり1本立てならばもっと筋をじっくりみせるべきだと思うし、オムニバスならばせめて2話ぐらいに収めるべきだろう。とにかく各1話が短すぎて、その割には役も多いし、とても各役の人は時間が短すぎて「役を掘り下げる」までいかないのではないだろうか。われわれファンは事前予習や、プログラム、タカラジェンヌの顔などで見分けてなんとかそれぞれの筋をたどっていけるが、役者の顔が分からない状態(団体さんとか)なら、「これは何?」で終わってしまうだろう。(実際母がある団体さんから「わけが分からん」といわれてしまったそうだ)とにかく絵本のヴィジュアル化のような内容なので、金子母子としても「あれこういうことだよね?」と家に帰って話が尽きなかった。とにかくサヨナラ公演としては作品的に残念というしかない。
あとはオムニバス形式なので人別に。
フランシスの紫吹淳(リカちゃん)。ポスターをみていると、『シニョール ドン・ファン』より凄いアクの強いキャラクターかと思いきや、「不死」の運命に苦しみ、正義感溢れる二枚目の設定だった。フランシスの優しさ、というものはよく表現されていて、最後の役としてはこれでリカちゃんらしく正解だったのかな、と思った。ダンスが多いので千秋楽まで体に気をつけて、といいたい。ただ、あのロングヘアーだが1話だけにして2話からはショートに出来ないだろうか。なんだかぞろぞろした印象を与える。パレード前、黒燕尾で舞台上1人、空間を十分に使って流麗なステップを踏むところは「男役の美学」という言葉がぴったりで、「ああ、リカちゃんいなくなるのだー」と改めて惜別の念を強くした。リカちゃん、あなたは最後まで「リカちゃんらしさ」を貫いた、潔いトップスターでした。
映美くらら。この人はトップ娘役になったころは「なんでも無難にこなせる新進娘役」だったが、紫吹の力もあってか「キャリア以上のものを発揮できるトップ娘役」になったと思う。まだまだ可能性を感じるので、今回は宝塚に残ってくれてよかったと思っている。3役だが、リディアはお姫様らしく、ポーラはこましゃくれた生意気な少女、ジェニファーは祖母に言われたことを念頭においてフランシスの愛を得る女性、ときちんと演じ分けていたのでますます成長を感じる。彼女が歌う、「♪私のヴァンパイア」は主題歌より覚えやすく、この作品の中では一番いい曲だと思う。素直に歌う映美にも好感が持てる。相手役が変わっても頑張って欲しい。
ミハイルの彩輝直。いい役だよ、この役。主役以外の唯一の通し役だし、主役の敵役だし、女装もあるし・・・。まず、歌から行くと声が割れてしまうところは次期トップとしては早急に改善すべきだし、役作りももっと主役に対していまいましくていい。というか、ミハイルが「悪」でなければこの話は成立しないので、「小悪魔」ならぬ「大悪魔」みたいな存在でないといけない。とにかくもう少し邪悪な存在感を出す必要がある。次期トップなのであえて辛口になってしまったが、今出来ないことがトップになったら出来るというものではないと思う。(ファンの方ごめんなさい)
星原美沙緒さん。第1・4話の商魂たくましい社長、第2話の威厳をたたえた領主、第3話のヒトラーを羨む隊長、と完璧な演じ分けでさすが専科である。出演していただいてよかった。
五峰亜季。あまり役が無いのが残念だ。でもフィナーレで観ているとさすがダンサーだし、第3話でもフランシスにくねるように絡むところは流石だ。
大空祐飛(ユウヒ)。今回は3役とも恵まれていたと思う。プロローグ・4話のロバートは軽く、2話のフィリップは陰湿に王を倒そうとするのではなく、自分は勝手に月だと思い込んで、ただ王になりたいからミハイルに利用されてしまう、というのをどちらかと言えば漫画チックに演じていた。そして3話のエミールはこの人のクールな個性に加えてスタイリッシュかつストイックなところがよく役にあっていて、黒燕尾で男役陣の中心でタンゴを踊るところはなかなか格好良かった。ポスターにはのっているが2番手というわけでもなく、微妙な立場だが、いい味が出てきているのでやめないで欲しい、と思うこのごろである。
霧矢大夢(キリヤン)。まず舞台復帰おめでとう、というべきだろう。ただ、今回は2役しかないし、フィナーレの最初の主題歌を聴いていてもいまひとつ以前の迫力を感じない。やはり、難病だったのだから85%ぐらいの始動というところか。それでもルイ14世の歌とリカちゃんとのダンス合戦は見応えがあり、これはキリヤンでなければできなかったろう。もう少し時間がかかるのかな、という印象である。
月船さらら(さららん)。先のバウホール代役主演で力をつけたのか、2話のソロは安心して聴いていられた。主役経験というものは大きなものなのだな、と感じた。
紫城るい。2話のわっかのドレス姿には押し出しのよさを感じた。女役の声も安定してきて、フィナーレでは美々杏里とデュエットしてもそう遜色なく感じたので、これからますます期待して観て行きたいと思う。
北翔海莉。4話の若者のリーダーよりも、3話の浮浪者の方が印象に残った。CSで演じている、といわれない限り彼女だとは気付かなかった。新人公演主役をやる人がああいう汚れ役も果敢に挑んでいることには「芝居の月組」の伝統を思い出した。
<金子のコラム>
今回は提言。「大劇場にSS席を」。
こう思うのは2階席、特に2階S席の状況をみて思うからだ。今年、2階席に3回ほど座って観劇したが、うち2回は隣が空席であった。確かに、宝塚友の会に2階席が含まれるのは仕方ない、と思う。それは初めから言われているのだから。しかし、昨今の大劇場のいわゆる「サバキ禁止」状態では、損をしても(定価以下で売っても)当日見知らぬ他人に行ってもらうのは不可能だ。そうするとダブらせると悪い席はチケットを破るしかないか、となる。
また、当日券だが、S席の当日分となるとまず2階席となる。よって、平日3時公演2階S席となると、大体は宝塚友の会席とあと少し当日の「飛び込み」客のみになっているのが現状と言ってもいいと思う。
こう分析する前に、先日宙組大劇場公演2階S席4列に座ったとき、終演後7列の「飛び込み」客らしき人がこういっていたのだ。「こんな、ショーなんか、上から観たら一緒だから、3500円の席でよかったわぁ。あの1階の1番前の真ん中の人なんかわたしらの倍は払っているのだろね」。金子、「あの、同じ7500円です」とは言えなかった。自分も座ったことがあるし。しかし、これが普通の人の感覚なのだろう。
そう考えると、やはり東京と同じように大劇場にもSS席を導入すべきだと思う。金子の考えるSS席のブロックは次のようである。1階センターブロック10列までと1階両サブセンターブロック5列まで。金額は東京と同じ2000円UPで9500円。
そして、もう一つの提言。「2階S席は前売り1列は7500円、2列は7000円、その後ろは6500円。2階席当日料金はどの席種でも2000円引きへ」。夏休みに学生にやっているサービスを一部引用させていただいたが、年代に関係なくこうすれば、近場の人に「ちょっと宝塚に行って来るか」という感じで来て貰える可能性もあるし、当然学生の増員も見込めると思う。そうすれば、スターさんだって2階の客を意識すると思うのだ。どこの組とはいわないが、現在は全体的に2階を見てくれないスターが多い。2階でも人はいるのだ。
少し過激な提言だったと思うが、ちょっと今のままでは同じ料金でも格差がありすぎるように思うし、この不況の折なのだから宝塚も連日・毎公演人が一杯になることによって、制作費が豊かになり、よって宝塚ならではの日常を忘れられるゴージャスな舞台を繰り広げて欲しいという1ファンの考えである。
やはり、1階最前列と2階7列が同じ料金ではイカンよ。今回はこんなところで。
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