雪組大劇場「君を愛してる」「ミロワール」

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459. 雪組大劇場「君を愛してる」「ミロワール」

ユーザ名: 金子
日時: 2008/2/4(15:13)

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 こんにちは。正直つまらん・・・・。ショーがなければ、1回しか行きたくなかった。全国ツアーの「ジェローデル編」のほうがええんとちゃうか?

雪組 宝塚大劇場
1月17日→2階B席
2月3日→2階B席

ラブ・ロマンス
「君を愛してる」
作・演出/木村信司

<解説>
 オシャレに、華やかに、今こそラブ・ロマンスを。上流階級の青年と、サーカスの花形スターとの心温まるラブ・ストーリーを、パリを舞台に爽やかなタッチで描きます。木村信司による初のオリジナル・ミュージカル。
 大富豪が亡くなった。長男ジョルジュに遺言が告げられる。半年以内に結婚すること。結婚相手は上流階級に限る。条件を満たさなければ、財産は継がせない。遺言を聞き、親友フィンラントは「結婚と恋は別」ととぼける。一方、親友アルセストはショックを受ける。ジョルジュの結婚相手と目されたセリメーヌに魅かれていたのだ。急に結婚なんかできないと思い悩むジョルジュは、あるときサーカスの花形スターマルキーズと出会う。
 マルキーズの生き方に触れるうち、ジョルジュは自らのこれまでをふりかえる。初めはジョルジュをいけ好かない金持ちを思っていたマルキーズも、ジョルジュの温かい人柄に触れるうちに秘かに想いを寄せていく。マルキーズの元・恋人でありプロデューサーのアルガンを初め、サーカスの団員、芸術に生きるボヘミアンたち、オシャレでかわいいパリの踊り子たちなど、さまざまな人々が物語に絡む。
 恋・友情。花の都パリで、一足速い春の風のようにラブ・ロマンスが展開する。(ちらしより)

<メインキャスト>
ジョルジュ・ドシャレット(アンリ・ドシャレット伯爵の長男):水夏希
マルキーズ(サーカスの花形スター、空中ブランコの名人):白羽ゆり
アルガン(大規模なサーカス団「シルク・ド・メール」のプロデューサー、マルキーズの元恋人):彩吹真央
レオン神父(ジョルジュの父親と親交の深かった神父):未来優希
フィラント(ジョルジュの親友):音月桂
アルセスト(ジョルジュの親友):凰稀かなめ
セリメーヌ(フランソワの娘):大月さゆ

<感想>
「方向転換もほどほどに」

 木村先生の作品、というと原作を通り抜けた(あるいは無視した?)強烈なメッセージ性が特徴だ。正直好きではない。さて今回はオリジナル、チラシを読んでいると「ああ、慈善とは金持ちの税金逃れではなくて、本当は・・・」というメッセージかな、と思った。しかし、プログラムを事前に読むと「この作品で生まれ変わりたい」とあり、「どういうふうに?」と興味をもって観劇した。

 正直途中からつまらなくなってきた。新聞で大円団で終わるということを知っていたこともあるが、「テーマがない」ということに尽きる。金持ちのお坊ちゃんの成長話、としたいのだろうがとてもそうは思えない。1時間35分観てテーマなし。たまにバウホールではこういう作品に当たるが、テーマなしの芝居は何を観たのか終演後困ってしまう。「ショーに5分まわせば」とすら思っていた。

 理由を考えると、登場人物の殆どの背景がないのだ。だから、人物に現実味がなく、どう熱演されても感情移入ができないのだ。これが一番のつまらない原因だろう。

 また、音楽もハードな曲が多く、ラブ・ロマンスなら、1つや2つ、甘い旋律があっていいはずだ。木村先生の娘役への台詞は投げやりな言葉が多く、日本語として好きではないのだが、ヒロインの台詞はもう少し語尾に女性らしさがほしいところ。また、「失うものは何もない」などという愛の告白の台詞は、2昔前(?)の宝塚で台詞の構築に疑問が残る。(観劇後CSで『うたかたの恋』を見たのだが、時代に左右されない台詞の流麗さに名作のゆえんを感じてしまった)

たぶん「ハードなメッセージ路線」から、「宝塚の王道路線」に方向転換を図ったようだが、王道でもきちんと人物を描いていただきたい。次の木村作品がどうなるのか恐くなってきた。40点。

水夏希。お金持ちのお坊ちゃんだが、ただ享楽的にこれまで生きてきた、という設定だろう。それなら金持ちならでのエゴとか醜い部分があって、それがマルキーズによって浄化されていく、なら納得もできるが、まったく人物としてリアル感がない。演じるほうが大変だろうな、と思ってしまった。やはり、歌唱力が気になる。それに、金持ちが同じ服を2度も着るのか?衣装も説得力がない。

 白羽ゆり。はっきりいって、パリでも日本でもこんな女がいたらお目にかかりたいものだ。サーカスの経営から団員の世話、全員の食事の支度、そのうえ教会での慈善、まして空中ブランコの名人の花形スターで美人。リアル感ゼロ。アルガンに「君は夢だ」といわれて否定しているが、まったくこちらも説得力なし。白羽はスターというより、責任感のある女性というところが表に出ているように観えたが、ちょっとラブ・ロマンスのヒロインとしては重いような感じがした。若い女性ならではの華やかさがほしいところ。特にそれが特徴である人だから。

 彩吹真央。この役は意外に書き込みが多くて、一サーカス団員では収まらない、自分の考えで世界を開拓して、経営至上主義の理念の下に生きている男性だ。まあ、経営者ならこういう感じだろうし、彩吹も手堅くまとめている。ソロもハードな曲でこの役はいい。最後に「ようし、歌ってやる」と祝福するところは、まあ宝塚ならでは。普通ならプライドを傷つけられて、さっさと去ると思うが、悪役を作りたくなかった演出の意図が見える。
ただ、この役は悪役でいいと思うのだが。
 
 未来優希。年齢と聖職者を感じさせる演技で彼女なしではこの芝居はきつい。ソロの曲も非常にたっぷりとしていてよかった。

 音月桂。一番分からないのがこの役である。どこから「お気楽に」になるのか?「お気楽」以外にこの人物にはなにかないのか?またしてもリアル感ゼロ、である。大きな役ならそれなりに意味をもたせるべきだ。

 凰稀かなめ。「恋か友情か」と悩む役だが、彼女の風貌からしてあまり似合わないように思った。ただ、主人公の親友ということでおいしい役。ソロも無難なところか。

 大月さゆ。ヒロインと対照的な貴族のわがままお嬢様だが、勢いに乗っているのはいいが、もう少しアルセストに対して思いやりを示す優しさがほしい、と思った。
 

ショー・ファンタジー
「ミロワール」 〜鏡のエンドレス・ドリーム〜

<解説>
 「ミロワール」はフランス語で鏡の意味で、「鏡」と「鏡の中のもう一つの世界」をテーマに構成したショー。人は古来より鏡に特別な力を感じます。神秘的なものの象徴でもあり、その時代を映し、異次元へと誘う鏡。スタイシッリュなダンスとダイナミックな群舞、出演者の一体感が更に客席との一体感を生み出し、鏡が織り成す複数に増殖していくイメージが、ゴージャスな世界を描き出します。(ちらしより)

<感想>
「バランスの取れたショー」

 久しぶりの中村暁(以下「暁」)先生のショー。以前の「サジタリウス」「ハイペリオン」などはあまりいい印象がなく、このところは柴田作品の演出担当、というイメージが強いので、どうなるかな、と思った。ただ、暁先生の手がけられた生徒のディナーショーはCSで見る限り選曲がいいので、まあ大劇場のショーでもスタンダードな耳に慣れ親しんでいる曲がでてくるかな、しかし雪組のユニット「Aqua5」の宣伝もしなければいけないだろうから、後半一場面はゴスペラーズさん提供の曲でいくのだろうな、と覚悟もしていた。結果はフィナーレで使われただけで、黒燕尾の総踊りとのマッチでこれも面白かった。スタンダードな曲はわんさと出てきてこちらは安心して観ていられた。

 また、タイトルの鏡がどの場面でも要素になっていて、鏡のセットも有効だったし(使い回しもききそう)タイトルからぶれのないショーで50分があっという間だった。ストーリー性のある場面とそうでない場面とはっきりしており、充分全国ツアーに持っていけるショーだと思った。芝居が普通の長さであと5分長かったらどういう場面が加わるのかちょっと観てみたかった。90点。

第1章 プロローグ (鏡の宮殿)
 きらきらで新年向け。インパクトがある。とにかく「鏡がテーマですよ」という演出意図がはっきりしている。中盤の水夏希のソロのダンスはひさびさにたっぷり彼女のソロを観た感じ。2階で観ても綺麗。

第2章 ハートダンスの鏡
 彩吹真央の芝居とはうって変わった色の衣装とソフトな歌唱の「♪ジョニー・エンジェル」はショーがつく宝塚ならではの醍醐味。全体的に弾けた感じの場面で楽しい。

第3章 メデューサの鏡
 水の登場からちょっと凝っていて、ストーリー性があり面白かった。最後自分で自分を鏡で見ても石にならない、というのが皮肉。前の場面と対比がいい。

第5章 万華鏡
 スタンダードの曲で勝負の中詰め。曲に合わせてフォーメーションが変わっていくのが少し普通と違うが、最後は「♪ナイト&デイ」がたっぷり使われてファンとしては安心して楽しめた。

第6章 Aquaの鏡
 水に映る波紋が広がっていく様子が全員のダンスで表現されていてゆったりした感じ。ただ、この場面だけ録音演奏なのは惜しい。

第7章 鏡のエンドレス・ドリームズ
 CMで使っている曲と黒燕尾は先に書いたように意外とマッチしていて面白かった。後半のデュエットダンスは「♪追憶」だが、一転してスタンダードの名曲で対比が効いているフィナーレ。水と白羽ゆりにはよくあった選曲だと思う。


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