宙組大劇場 「バレンシアの熱い花」「宙FANTASISTA!」

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449. 宙組大劇場 「バレンシアの熱い花」「宙FANTASISTA!」

ユーザ名: 金子
日時: 2007/7/23(14:01)

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 こんにちは。ショーはわけがわからんうちに終わった・・・。芝居は昨今のトップにおんぶにだっこのような時代と比べて、これだけ役を作れた時代に感謝。

宙組 宝塚大劇場公演
7月7日→当日B席(2千円の席):役替わり初日 
7月22日→1階4列4

ミュージカル・ロマン
「バレンシアの熱い花」
作・演出/柴田侑宏
演出/中村暁

<解説>
 19世紀始めのスペイン。バレンシアの領主ルカノール公爵の居城。側近らが集まり、何事かを相談していた。退役軍人のレオン将軍に不穏な動きがあるというのだ。その協議中、前領主の妻セレスティーナ未亡人が、重税に苦しむ市民たちの実情を訴えにやって来る。しかし未亡人の訴えは聞き入れられることはなかった。
 未亡人の息子フェルナンド・デルパレスが、レオン将軍の要請で駐屯地から戻ってきた。フェルナンドの父はルカノールによって暗殺されたという証拠の手紙が発見されたのである。ルカノールの横暴ぶりに加え、父の暗殺事件を知ったフェルナンドは復讐を誓う。そのためにまず遊び人になりすまし、許婚者のマルガリータにも結婚の延期を告げる。
 ルカノールの城では、今日も夜会の最中である。公爵の甥ロドリーゴ・グラナードスの後を追って、ルカノールの後添えシルヴィアが出て来る。シルヴィアはロドリーゴの恋人であったが、シルヴィアの父が反逆罪で捕らえられ、父を救う条件としてルカノールは強引にシルヴィアを後添えにしたのだ。行き場のない憤りを感じるロドリーゴ。そんな彼をフェルナンドが街の酒場エル・パティオへと誘う。
 エル・パティオではラモンとイサベラがフラメンコを踊っている。別室でフェルナンドはロドリーゴに協力を求める。二人の話を立き聞きしている者がいた。ラモンである。二人は秘密を聞いたからには仲間に入るべきだと彼に詰め寄る。しかしラモンは断る。二人は黒い天使と名乗り、ルカノール一派を一人ずつ亡き者にしていく。シルヴィアやマルガリータは二人の様子が変化したことに心を砕いていた。しかし陰ながらフェルナンドを愛するイサベラだけは、彼の実体を見抜いていた。ある日、ラモンの妹ローラがルカノールの部下に殺される事件が起こる。ラモンは仲間に加えて欲しいと申し出る。
 決戦の日が来た。フェルナンド達はレオン将軍や義勇軍を従え、城に乗り込む。三人の目的は達成されるのか・・・。そして、それぞれの恋の行方は・・・。

<メインキャスト>
フェルナンド・デルバレス(侯爵。前領主の息子):大和悠河
イサベラ(「エル・パティオ」の歌い手):陽月華
ラモン・カルドス:7/7北翔海莉 7/22蘭寿とむ
ロドリーゴ・グラナドス(伯爵。現領主の甥):7/7蘭寿とむ 7/22北翔海莉
ルカノール公爵(現領主):悠未ひろ
シルヴィア(現領主の後添え):美羽あさひ
ドン・ファン・カルデロ(紳士実は盗賊の頭):七帆ひかる
マルガリータ(レオン将軍の孫娘):和音美桜

<感想>
 「スペイン物青春冒険活劇」

 初演は31年前ということで(もちろん観ていない)、年月を経てどうみえるかな、と思って観劇したが、やはり年月の流れを感じてしまった。

 1番は、感情表現などが台詞どおりで充分ということである。柴田先生の脚本らしく、緻密に書かれている台詞通りの心理描写をしたらそれでOK、という感じがした。最近の先生の脚本だと生徒さんのレベルがあがっていることもあるが、台詞以上の心理描写で感動することも多々あるのでこのへんに違いを感じた。少し前だと、一連の正塚先生の脚本&久世星佳さん主演作品、最近だと児玉先生の『龍星』&安蘭けいなど脚本・台詞以上のものをみせて貰えたのだが。今回の最後の別れのシーンなど、あえて現在の宙組主演コンビのレベルに合わせてあるか?などという感じがした。(ファンの方すみません)

 2番目は、31年前は主演コンビ、特に主演男役が現在のように獅子奮迅しなくていいように、多彩に役もつくってあったのだな、ということである。今回は主な役6人とあと脇役も豊富で、いろんな生徒さんのアピールポイントがあったように思う。本当に最近は主演の方はたいへんだな、と思う作品が多いので。(DVDで『シークレット・ハンター』を見たら、主演がとてつもなく体力が要り、大変なことに気付いた・・・・というか役のない生徒さんがおおいなと感じた)

 3番目は、初演時はスペインの風俗・文化も目新しいものであったのだろうが、この作品はたぶん「宝塚のスペイン物」の形を作った1つであろうから、現在となっては、いつものスペイン物のひとつにしか感じられず、新しさはないのは当然か、というところである。特にプロローグはANJU先生の振り付けは格好良いので、もう少し大人数で踊ってもらっても良いかな、と思う。

 テーマは主人公の青春との決別、というところだろうが、所詮、初めに書いたように活劇にすぎず、観終わってなにか深い感動を与えられる、というところではないと思う。も
う少し主人公の心の葛藤などを入れて主役の場面を増やせば「今風」になるのだろうが。75点。役替わりと休演に関わる役については役ごとに。

 大和悠河。スタイル抜群の彼女だからどのコスチュームも映える。演技についてはフェルナンドの復讐に燃える真面目なところはいいのだが、いわゆる「裏の顔」の遊び人との区別がいまひとつだった。もっとメリハリをつけてもいいかと。歌詞にある真実の彼の「孤独」が感じられなかった。歌はがんばっているのは分かるが、もともと他人に作られた歌だから、難しい、としかいいようがない。次は明るい現代物でいいかと。

 陽月華。赤い衣装がよく似合い、フラメンコはもっとみていたいので、「歌い手」ではなく「踊り手」に設定を変えてもいいかと思った。ラモンたいしてフェルナンドとの関係を「あたし、つらいわ」と端的に感情をいうところや、最後に去っていくところなど星組時代より情感があふれていてよかったと思う。大人の役もやれるのだ、というところを示したと思う。やはり苦手分野は貴婦人・令嬢といったところか。

 ラモン。基本的にはどこにでもいそうな街のアンちゃんで、ロドリーゴに対して決闘してみせるなど鼻っ柱の強いところはあるが、イサベラの気持ちがフェルナンドに傾いていってしまっているのをとがめもしないでまっていて、一方妹の不条理な死から公爵に対して義憤を抱いてフェルナンドたちに加わる、といういわゆる「熱い男」である。観る前は「『ベルサイユのばら』のアランみたいな感じかな」と思っていた。
 北翔海莉(7/7)。登場してからすぐに「あれ、アランと違うぞ」とこっちの概念が変になってきた。ひたすら小物で、飄々とした感じで、「熱い男」というイメージと違った。役替わり初日にしては落ち着いていたし、歌も秀逸。ただ、フェルナンドの家でのソファーに座ってのアクションはやりすぎ。前のフェルナンドとマルガリータの芝居を邪魔してしまっていた。幕間にプログラムを読むと「悲しみや苦しみを自分の中で押し殺し道化を装うような人物」と書いてあり、ああこういう考えが演技に反映されたのか、と得心した。左ページの蘭寿とむの「彼の熱く野生的な部分」とはまったくの別解釈であった。観客としては虚を突かれたようなラモンだった。
 蘭寿とむ(7/22)。こちらは予想通り、というところだった。ラモンの熱いところ、軽いところ、イサベラに対して真面目なところ、とバランスの取れた出来だった。強さが表に出て、蘭寿らしい役として充実感があった。

 ロドリーゴ。貴族の坊ちゃまで冷静沈着、納得しないと行動に移さない人だと思うが、シルヴィアへの思いが公爵への憎悪につながって、心の奥底で青い炎を燃やしているような人物だと思う。基本的にかっちりとした二枚目像である。
 蘭寿とむ(7/7)。初めの出番から思い切り「硬派」だった。もう少し、シルヴィアに対して包容力があったほうがいいと思った。彼が包容力のある人間だからこそ、シルヴィアはルカノールの暗殺の手引きというむごいことをした自分が、その後ロドリーゴの温かさに包まれるのに罪悪感を感じて自殺したと思うのだが。
 北翔海莉(7/22)。ロドリーゴの貴族ならではの信念の固さ、伯父への憎悪、その八つ当たりでシルヴィアにもきついことを言うが、彼女への愛情が勝ってしまう、というところもこちらもバランスの取れた出来だった。
 こうやって見ると、7/7のほうは役替わり初日、ということもあってある程度差し引かなくてはいけないだろうが、やはり7/22のバージョンのほうがそれぞれにつくりこんだできであり、あまり役替わりの意味はなかったように思う。

 悠未ひろ。悪人が『A/L』につづいてだが、スケールが大きく出番が少ないのだが印象に残る。これくらい悪人なら暗殺される道理が立つ、というところだ。

 美羽あさひ。シルヴィアのつらさ、ロドリーゴへの思い、夫を裏切る自分が許せない誠実さ、などしっとりと演じていつもながら安定した出来。ロドリーゴ役が変わっても上手くあわせていた。

 ドン・ファン。七帆ひかる(7/7)。前半で非常に闊達に振舞っているので、最後に父親を助けるところの影が効いてよかったので、このところいいなと思っていたのに休演とは残念。早霧せいな(7/22)。代役で「はい、なんとか作ってきました」という感じで、新人公演があったから、準備足らずという感じ。たぶん、1日で覚えなおしただろうから、そこの根性は買うが、東京はどうなるか。

 和音美桜。清楚で可憐で純粋、という絵に描いたような「宝塚の娘役」像だが、この路線をあまりやってないように思える和音がちゃんと範疇におさめた。婚約者を責めるのではなく、言葉を選んでとつとつと話すので、マルガリータの健気さが伝わってきて、よかった。この人が待っていてくれたらフェルナンドはイサベラと一緒になる道を選べないな、と思わせた。

コズミック・フェスティバル
「宙 FANTASISITA!」
作・演出/藤井大介

<解説>
 宇宙に王子が誕生し、宇宙一周の旅へと出かける。月・水星・木星・・・そして太陽。それぞれの星をイメージした場面が展開される。誕生10周年を迎える宙組の記念すべき公演。そして新生宙組スタートの公演に相応しい、新鮮で、エネルギッシュな「宙」をテーマにしたショー作品。
 

<感想>
「きらきら、ぴかぴかの宝塚」

 藤井先生の作品は「あたり」か「はずれ」かはっきりしていると思うのだが、今回ははっきりいって自分としては「はずれ」のほうである。

 基本的にいろいろな惑星を回るのは分かるのだが、それぞれの場面の色が違いすぎて、ショーに一貫したものが見えない。たぶん、宙の王子が惑星を回ることで成長して太陽になるというストーリー性を持たせているとおもうが、なにか「このショーはこういう雰囲気だ」というものが分からなかった。
 まず、プロローグの擬態語・パ行の音がたくさんの歌詞からして「これはお子様向けショーか?」と思ったし、J−POPやアニメソングを使うところは芸能ニュースでちらりとみるジャニーズのショーでもあるまいし、男役と女役を入れ替えるのは悪趣味といいたいし、結局初めに書いたように「きらきら、ぴかぴかのお子さま向けの宝塚のショー」ということで「はずれ」だった。
 また、スターの使い方だが、新主演男役大和悠河をフィーチャーしようというのはわかるが、もう少し男役スターに見せ場を振ってもらいたかった。娘役はわりといろいろな人が目に留まるのだが。
全体のセットも安っぽく、劇場の舞台構造をもっと生かしきるべき。子供は喜ぶかもしれないが、ショーを見慣れた客としては別段楽しくなかった。40点。

第1〜4場 COSMIC1(BIG BANG)
 2階で聴いていても歌い手が予想される和音美桜の歌から始まるのだが、1階で観たとき、近かったこともあるが、歌だけでなく、歌うときの表情の豊かさに圧倒された。なかなかこれほど歌だけでひきつけられる人材はいないと思った。
 あとは王子が生まれて総踊り、というところだが、現在の宙組は男役が豊富なのでいろいろな人に目が行ってしまう(5組全体を見ると宙組の男役陣は上級生から下級生まで充実しすぎという感もする)。ただ、あの王子の乗り物(?)安定感がなさそうで観ていて怖いのだが。

第7〜8場 COSMIC3(MOON−月−)
 ここはロックで盛り上がるところ。まあ、大和悠河らしいというか、若い組らしいというか。美羽あさひが娘役の戦力としての存在感を示す。

第9〜10場 COSMIC4(MARS−火星−)
 ここは陽月華の独壇場といって良いかもしれない。個人的にはここが一番見応えがあった。男役を誘惑しながら踊るダンスの均整の取れ方とキレが素晴らしく、周りの男役が目に入らなかった。男役を引き立てるだけでなく、自分が芯になって踊れる、ほかの組にはいない主演娘役のタイプなのだな、ということがよく分かった。

第11〜12場 COSMIC5(MERCURY−火星−)・・第13場COSMIC6(JUPITER−木星)
 大和と蘭寿とむが怪しく絡む場面から娘役だけのコーラスへと続く場面。蘭寿にはあまりこういう中性的なところは似合わないように思った。(ファンの人すみません)娘役のコーラスは清らかで迫力があった。ここのように、場面がつながるのは荻田先生のショーのようだな、と思った。

第14〜17場 COSMIC7 (VENUS−金星−)
 ここが中詰めだと思うが、ロケットが入ったりいまひとつ盛り上がらない。いくら金星だといっても、ジャニーズの曲を使わなくともほかにあの衣装ならアダルトな曲があるはず。

第20〜21場
 ここは宙組のご自慢のコーラスの力を示すところだが、流石に揃っていて聴き応えがある。金色のセットは藤井先生の定番、というところ。

第22〜23場 COSMIC9 (SUN−太陽−)
 デュエットダンスは新コンビらしく初々しいが、なにもアニメソングで踊らなくてもいいと思うし、歌うのが蘭寿ならもう少しレベルの高い曲で充分のはず。


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